2016年 欧州債券市場:インターディーラーの対顧客取引における電子化
2016/10/09
ジョセフィン・ドゥ・シャズルネ
Abstract
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | 2016年に入って欧州の債券市場の構造はどう進化したか? |
2 |
2016年以降、欧州主要国の国債の動向は? |
3 | 2016年以降、欧州主要国の国債以外の債券の動向は? |
本レポートはセレントが毎年発行する欧州債券市場レポートの2016年版で、市場の規模、トレンドおよび構造的な変化に関する最新情報を明らかにしています。
取引の電子化は国債については完了していますが、国債以外の債券ではさほど進んでおらず、第2次金融商品市場指令(MiFID II)の施行を目前にバイサイドがより積極的な役割を果たしています。
景気の不透明感とバランスシート上のコスト拡大を背景に、ディーラー間の国債取引はさらに薄商いになっていますが、対顧客取引は売買高が増加しています。銀行以外の金融機関が流動性を提供するためには、ディーラーによる対顧客取引のミクロ構造を構築して流動性の拡大を図ることが不可欠です。
国債以外の債券のディーラー間取引は売買高が安定しているものの、各プラットフォームの市場シェアは変動が激しくなっています。一方、対顧客取引が増加している理由として、システム、取引所、プロトコルに顧客を取り込んでいることが挙げられます。
「規制当局、DMOおよびインターディーラー・ブローカー(IDB)プラットフォームは、銀行以外のしかるべき金融機関が欧州国債のIDB市場に参入でき、しかも政府とディーラーの双方の安全性が確保できるような、新たなミクロ構造の構築に取り組むべきでしょう。国債以外の債券市場では流動性に変化が見られます。顧客主導を掲げる一部の取引所とプロトコルが成功を収めたことは、その証左といえます」と証券プラクティスのシニア・アナリスト、ジョセフィン・ドゥ・シャズルネは述べています。