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クラウドベースの金融サービス:銀行向けガイド

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2014/11/13

Abstract


クラウドコンピューティングほどよく知られ、また誤解されているテクノロジーはないかもしれません。個人ユーザー、部門、企業のITプロセス需要をプールすることで、クラウドサービスプロバイダーは、オンデマンドかつ無限に、仮想のデータセンター機能を提供します。これによって金融機関はその規模に関わらず、大手銀行をしのぐほどの規模の経済を享受できるのです。また、クラウドサービスを導入することで銀行のアジリティを向上し、めまぐるしく変わる顧客のニーズに対応した製品をいち早く提供することもできるようになります。

しかし、クラウドサービスにもリスクや限界はあります。銀行のCIOは、そのリスクや限界を踏まえた上で、クラウドで展開する商品やサービスを慎重に検討する必要があるでしょう。

このレポートでは、クラウドサービスの起源と、金融業界をはじめ様々な業界で急速に導入されたクラウドサービスのテクノロジーについて検証しています。さらに、クラウドサービスの種類と形態、金融機関におけるクラウドコンピューティングのメリットや制約、リスクを検討し、有望なクラウドサービス導入計画について考察します。

このレポートは、クラウドサービス業界の虚像と現実を明らかにしつつ洞察するレポートの第1弾です。今後のレポートでは、導入例を検証するとともに、成功例から抽出したクラウドベースのバンキングシステムのベストプラクティスを示します。さらに、銀行へのクラウドサービス導入プロジェクトで最も活躍しているベンダー、最も適した位置にあるベンダーを紹介します。

クラウドサービスの導入を妨げている要因として、どのベンダーソリューションが真のクラウドサービスであり、どれが従来型のウエブサービスなのか、統一した定義がないことが挙げられます。ベンダーの説明を信じ、クラウドサービスには従来のSaaS(サービス型ソフトウェア)が全て含まれていると理解している銀行もあります。しかし、クラウドサービスのSaaSは、従来のウエブサービスやASPが提供するサービスとは全く別物なのです。「今、銀行のCIOは、クラウドベースのバンキングソリューションがもたらす業務上及び財政上のメリットと、クラウドサービスに潜むプライバシー/セキュリティリスクの間で板ばさみになっています。しかし、過去に大々的に報じられたTarget、Home Depot、JPモルガンチェース等のデータ漏洩事故は、高い安全性を保証しているプライベートデータセンターで発生しました。このことから、データセキュリティにおいて重要なポイントは、データがどこに保管されているかということよりも、どのように保護されているかということがわかるでしょう。」と、セレントバンキングプラクティスのシニアアナリストで、レポートを執筆したジェームス・オニールは述べています。