ポストトレード処理の効率化、アウトソーシング、ユーティリティ:注目のイノベーションシリーズ
Abstract
欧州では20年ぶりに取引後処理のエコシステムとインフラ転換の見直しが行われたのを機に、テクノロジー、業務およびシステム分野への投資が大幅に拡大する一方、業界全体は極度のコスト削減圧力に直面しています。IT投資拡大とコスト削減圧力が相まって、取引後処理の業務提携モデルを「要塞型」からより革新的な「連合型」に進化させざるを得なくなってきています。
取引後処理市場の参加者は業務の効率化だけでなく、ミューチュアライゼーションによるコスト削減、業務提携やパートナーシップを通じた新規ビジネス/モデルによる収益拡大を図る必要があると本レポートは論じています。
「業務の効率化を通じてコストを削減する場合、業務の簡素化、担保のプール、中間業者の排除などを通じて経済性を最適化することができるでしょう」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジョセフィン・ドゥ・シャズルネは述べています。
「業務の簡素化および標準化によるコスト削減を目指す金融機関にとって、BPOは最初のステップになります。しかし、金融グループおよび業界レベルでみると、ユーティリティソフトの導入はより大きなコスト削減効果をもたらすとみられます」とシャズルネは指摘します。
ニッチプレーヤーであるカストディアンと大規模な証券集中保管機関(CSD)が提携することで、資産管理サービスの収益拡大を図るというのは1つの選択肢です。この分野では、単独で欧州の大手カストディアンに対抗することは難しいからです。市場インフラという観点からすると、ミューチュアライゼーションによるコスト削減は、BPO、アウトソーシングまたはアカウント・オペレーター・モデル(AOM)を利用するより、難しいと考えられます。特に独立性を問題にしなくていい場合には、業務提携やユーティリティソフトの導入によって収益拡大することも可能です。今後進むであろうフローの垂直化も、小規模なCSD同志の業務提携や統合を促すきっかけになるかもしれません。