Web 2.0とリテールバンキング:熱狂状態が収まれば投資機会に
Abstract
(このレポートは2008年11月14日に"Web 2.0 and Retail Banking:Less Hype Equals Opportunity"というタイトルで英文で発表されましたが、日本語版が2009年3月25日に発行されました。)
Web 2.0は、今日のビジネスにおいて最も誤用および濫用されている言葉の1つです。消費者の期待が急速に膨れ上がる一方、その期待と実際に銀行が提供するサービスとのギャップが広がっています。銀行が戦略を変更しない限りこのデリバリー・ギャップはさらに拡大し、利益を脅かしかねません。
Web 2.0は、インターネットに関する新しい動きや技術革新の全てを総称する言葉となっています。セレントはWeb 2.0をインターネットの進化過程における転換点と位置づけています。 インターネットの世界では、消費者の行動とWeb 2.0の実現技術において重視されるのはインターネットユーザーの経験と能力が魅力的で相互作用的、協調的であるかという点です。 Web 2.0は、一方通行のコミュニケーションや静的でばらばらのデータといったインターネットの遺産からの脱却を意味しています。 セレントの最新レポート「Web 2.0とリテールバンキング:熱狂状態が収まれば投資機会に」はWeb 2.0について分かりやすく説明することでWeb 2.0をめぐる熱狂を沈静化させると同時に、Web 2.0を新たなリテールバンキングの機会にするための視点を示しています。レポートの主な論点は以下の通りです。
- Web 2.0は特別なテクノロジーではなく、消費者の行動の変化(主にオンラインにおける)とそれをサポートするテクノロジーを示す。
- 顧客関係を維持・強化するためには、顧客の期待と行動がなぜ、どのように変化したか理解する必要がある。
- 従来の銀行サービスとWeb 2.0後に顧客が期待するサービスとのギャップは大きく、その差は毎年拡大しつつある。
- すぐに変化に対応できない銀行もある一方、革新的な商品やサービスを打ち出す銀行は高いリターンを上げるとみられる。
- 進化を続ける消費者と伝統的な銀行とのギャップを縮めるためには、商品、サービス、マーケティングおよび
- セールスの方法を大幅に変更する必要がある。それには数年かかる可能性もある。
部の銀行やプロバイダーは従来の業務方法の変更に着手しており、新たな視点から業務見直しを図る銀行にとっては大きな ビジネス機会となっている。
「Web 2.0の実験的な側面を理解することで、銀行はオンラインとオフラインの両分野において進化する消費者の期待を認識しやすくなるでしょう。そうした理解を深めることで、銀行は既存の顧客関係を維持・強化できるようになり、次世代の顧客との関係構築にもつながるでしょう」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したエドワード・ウッズは述べています。
本レポートでは最初にWeb 2.0の実験的および技術的な話題を紹介し、銀行がWeb 2.0の活用に真剣に取り組んでいることを実証しています。また、オンラインに関するこれまでの経験に基づき、銀行がWeb 2.0の可能性を実現するために克服すべき課題を検証しています。レポートの最終項では、インターネットが進化し、銀行や同様のサービスを提供する競合相手が米消費者の金融ニーズを掴むための競争を繰り広げる中で、近い将来銀行を取り巻く環境がどのようになるか予測しています。
本レポートは62ページで構成されています。