次世代の資産負債管理およびバランスシート管理: COVID19の危機的状況におけるテクノロジートレンドとソリューションの進化
2020/08/17
次世代の資産負債/バランスシート管理機能、テクノロジー・イネーブルメントのトレンドと進化するソリューションの最新動向を分析
Key research questions
- コロナ後の数年間に銀行が直面する市場およびビジネスのトレンドとは?
- 資産負債管理(ALM)の実務と業務モデルの進化の状況は?
- 次世代のALMソリューションとベンダーが促す変化とは?
Abstract
世界的に超低金利環境が続くなか、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大に伴う極度の混乱が経済に大打撃をもたらしている現状を踏まえれば、現下の低金利環境がさらに長期化する可能性は高いだろう。大手銀行の預貸利ざや(NIM)の平均値は既に低下し始めているが、その主因はこうした金利の低下やイールドカーブのフラット化にある。それによって各銀行の利ざやが縮小し、結果的に今後数年間は業績悪化と大幅な減益が続くことになりかねない。
低金利環境下では、構造的な変化や市場要因によって銀行のバランスシートは一変する。そのため、融資資金の目減り(および不安定化)を克服し、利益率の縮小を食い止め、資本およびリスクの最適化をめぐる意思決定をより正確に行うためには、新たに発生するリスクおよび課題を注意深く管理する必要がある。
新型コロナウイルスのような「ブラックスワン」ともいえる事象(急速な展開や急速な状況の変化をもたらすイベントおよび経済の進展)を受け、金融機関のバランスシートおよび資産負債管理のバリューチェーンに対するニーズはかつてないほど膨れ上がるとみられる。こうした動きは、銀行が備えるべき新たな機能をめぐる規制当局および政府内の議論の方向性を決定づけるだろう。
今回のコロナ危機下で最も有効だったALMおよびリスク抑制策に基づく積極的な行動は、ALMおよびバランスシート管理の担当部門、業務機能、テクノロジーおよびデータ基盤の将来像を描く上で指針になるとみられる。金融機関とソリューションプロバイダーは、引き続き関連する動きを注視していくべきだろう。
(詳しい情報は、セレント北川俊来TKitagawa@celent.comまでお問合せください)