2021/07/07
最新テクノロジーは、スクリーニングの効率と効果を大幅に改善する機会を提供する。インテリジェントオートメーションは一致率を向上し、分散型検索とクラウドテクノロジーは、インフラ利用の最適化、コスト削減、およびビジネスや規制の変更への将来的に有効な対応を可能とする。
Abstract
規制当局による監視強化、ウォッチリストの継続的な変更、相互接続が進み複雑化する国際金融サービスエコシステムにより、従来のスクリーニング技術の限界が露呈している。金融機関は、増え続ける顧客データや取引データを様々なウォッチリストに照らしてスクリーニングすることに苦労している。最善とは言えないスクリーニング技術が使用されているため、大量のアラートが発生し、しかもその圧倒的多数が偽陽性という状況に陥っている。そのため、コンプライアンス・アナリストがアラートを調査し、真偽を確認しなければならない。また、ケース管理のワークフローが自動化されていないため、調査プロセスは手作業が非常に多く、非効率的である。現在のスクリーニングアプローチの非効率性により、AMLプログラムのコストが急増している。こうしたコストの膨張だけでなく、非効率性によってオンボーディングの遅延、取引処理の遅延や遮断、さらには業務上の制約が生じ、顧客エクスペリエンスに影響が出ている。
こうした中、金融機関はスクリーニング業務を見直し、規制に準拠した費用対効果の高い方法でスクリーニングの効率と効果を高めるために、最新テクノロジーに目を向け始めている。
- データ処理/ マッチング段階でインテリジェントオートメーションを適用することで、スクリーニングプロセスを大幅に改善することができる。インテリジェント文字認識、ロボティック・プロセス・オートメーション、ファジーマッチング、自然言語処理といった新しいテクノロジーは、データのクレンジング、正規化、標準化および照合を行い、顧客記録とウォッチリスト・データを統合する上で、大いに役立つ。
- データフィールドのコンテキスト分析をサポートするソリューションは、一致率を大幅に改善できる。最新のソリューションには、マッチング・プロセスをかなり細かく微調整する機能がある。また、文化に応じた言語処理も最新のソリューションの重要な機能であり、これにより、スクリーニングのパフォーマンスが大幅に向上する。
- 分散ノードのネットワーク上のメモリ内処理に高い拡張性を提供する分散型検索フレームワークを使用することで、非常に大きなデータセットの解析速度を上げることができる。
- クラウドモデルは、いくつかの方法でウォッチリスト・スクリーニングに変化をもたらすことができる。具体的には、インフラ利用の最適化、実装と定期的なアップグレードの複雑さの軽減、およびマルチテナンシーによるコスト削減が可能になる。今回のパンデミックで、クラウドベースのソリューションの採用が加速しており、特に中小規模の金融機関の間では、サービスとしてのソフトウエア(SaaS)モデルが急成長の構えを見せている。
最新テクノロジーを活用したソリューションは、効率と効果の向上に加え、ほぼリアルタイムのスクリーニングのサポートや、トランザクションスクリーニングの不正対策業務への合流など、多くの形でスクリーニングにパラダイム変化をもたらす。パンデミックの余波の中、ハイパーデジタル化の新時代が幕を開けた今、スクリーニングに変革と破壊をもたらす新しいテクノロジーを受け入れる時だ。
本レポートはBottomline Technologiesから依頼されたものだが、分析と結論はセレント独自のものである。