「上空」から価値を抽出する
2023/04/04
損害保険における地理空間データと航空写真
Abstract
損害保険会社にとって地理空間データおよび航空写真という新たな領域は、保険バリューチェーン全体にわたり多くの機会を与え、業績全体を大幅に向上させうるものとなっている。これらのテクノロジーは、保険引受の改善から保険金請求処理の迅速化および自然災害(NatCat)の管理まで、損害保険会社が直面する収益性の課題の解決策として貢献しうるだろう。
地理空間データおよび航空写真の概念や価値は単純かもしれないが、プロバイダーのエコシステムを理解することは、いささか複雑である。写真を自ら入手するプロバイダーもあれば、さまざまなチャネルを通じて写真を入手するプロバイダーもある。データを使用してモデルを作成し、NatCatモデリングレベルでデータを分析するプロバイダーもあれば、人工知能(AI)を利用して、物件や危険に特化したレベルで写真に関し具体的なインサイトを提供してくれるプロバイダーもある。データの活用先として主に保険引受に重点を置いているプロバイダーもあれば、保険金請求処理に重点を置いているプロバイダーもある。
本レポートでは、地理空間データと航空写真の分野の現在の状況を概説し、さまざまな種類のサービスを分類し、それらが価値を提供する領域をまとめている。ソリューションプロバイダーの能力を見極め、十分な情報に基づいて購入の意思決定を行えるよう、質問リストのほか、評価に必要な一連のベースライン機能も網羅した。さらに業界大手のソリューションプロバイダーのプロファイルと、保険金請求、引受、NatCat対応の分野のアプリケーションも一部紹介する。
図1:地理空間データと航空写真のワークフロー
Source: Celent