香港のOTC市場における電子取引の普及状況
Abstract
2010年時点で、香港の外国為替市場の規模は世界で第6位、アジアでは第3位でした。同市場にはABP(Asia Bond Portal)、BIA(Bond in Asia)、FXallなど多くの取引プラットフォームが進出しています。
セレントの最新レポート「香港のOTC市場における電子取引の普及状況」は、香港市場の規制動向をはじめ、市場規模、OTCデリバティブ市場のトレンド、市場参加者の動き、電子取引、取引プラットフォームについて解説しています。直近の調査によると、香港市場の金利デリバティブ取引の73%は金利スワップ(IRS)取引が占めており、1日当たりの売買代金は約13億ドルに達しています。規制強化によって信用市場の状況が変化し、取引モデルの標準化が引き続き進んでいるため、電子取引の普及につながっています。
2011年には複数のプロバイダーが新たな店頭取引プラットフォームを投入しましたが、一部の商品では取引所取引へのシフトが進む可能性があります。香港証券取引所は、既存の清算機関とは別に店頭取引向けの清算機関を新たに設立して、人民元建てのNDF(ノン・デリバティブ・フォワード)とIRSの決算を手がける準備を進めています。また、トムソン・ロイター、ドイツ銀行、スタンダード・チャータードは、2011年にそれぞれ独自の人民元建てデリバティブ取引プラットフォームを投入しました。
「多くの理由から、今後人民元建てデリバティブ取引が大幅に拡大することは間違いないでしょう。しかし、今のところ人民元建ての建玉はほとんどないことから、当面は市場規模がごく小さいまま推移するでしょう」と、セレントのアジアフィナンシャルサービスグループのアナリストでレポートを執筆したフア・ジャンは述べています。
現在、世界市場に占める人民元建て取引の割合は約7%にとどまっています。11年の人民元建てスポット取引の1日当たり売買代金は18億ドルと推計され、2014年には30億ドルまで増える見通しです、一方、人民元建て為替スワップ取引の1日当たり売買代金は2010年に3億ドルとなり、11年は5億ドルに達するとみられます。