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APおよびARアウトソーシング: 強気の銀行が参入

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2007/03/07

Abstract


セレントは、より多くの銀行が買掛金/売掛金管理のアウトソーシング事業に進出することを推奨しています。ただし、その際には最初に対象業務を限定し、徐々にアウトソース提供業務の範囲を拡大するアプローチをとり、またサードパーティと提携する必要があります。

財務会計業務のアウトソーシング(Finance and Accounting Outsourcing: FAO)の普及は、もはや否定できず、その流れは止まりません。大企業の多くは、既に財務会計の大部分の処理業務をアウトソースしています。しかし銀行側では、定番のホールセール向け貸金庫や支払い管理業務を超えて、売掛管理のアウトソーシング(ARO)や買掛管理のアウトソーシング(APO)を請け負う銀行はいまだ比較的少数に留まっています。

ところが、ここにきて銀行は、これまでの消極的な姿勢を改める必要に迫られています。セレントの最新レポート「APおよびARのアウトソーシング:強気の銀行が参入」は、APOおよびAROの機が熟していることを指摘しています。キャッシュマネジメント事業の収入が低迷する中、銀行は成長を支える新たな方法を模索しています。APOおよびAROは、キャッシュマネジメント事業の収入を拡大する手段と考えられます。手数料ベースでみた市場性への期待はさほど大きくありませんが(セレントは、目先の市場規模は3億ドル(約355億円)だが、いずれ16億ドル(約1900億円)に拡大すると予測)、他に有望な収入が見込まれないキャッシュマネジメント事業の中にあっては、有望分野といえるでしょう。AROおよびAPOを提供しない銀行や提供時期が遅れた銀行は、存在感が弱まるでしょう。

セレントは、銀行がFAOに進出するにあたっては段階的なアプローチをとることを提言しています。一部の例外を除いて、一行が単独で行うのは最善のアプローチではありません。むしろ、サードパーティのソリューションプロバイダーとの提携を模索すべきでしょう。この市場には多数のサードパーティ・プロバイダーが参入しており、その多くは銀行との提携を通じて既存顧客の取り込みを狙っています。これは、双方にとってメリットをもたらす可能性があります。他に先駆けてこの分野に参入した銀行(HSBC、フィフスサード、Sun Trust、ウェルズ・ファードなど)はこのような提携アプローチをとっているのに対し、一部の銀行(Mellon Bank、Key Bankなど)は企業買収を通じて市場に進出しています。

先行組の銀行は、総合的なFAOサービスではなく、限定的なアウトソーシングサービスを提供しています。ただし、それらのサービスは単なるアウトソーシングサービスではなく、また“アウトソーシング”という名目で提供されているわけではありません。それは、テクノロジー、ビジネスプロセス・リエンジニアリング(BPR)と選択的アウトソーシングの3つを絶妙に組み合わせたサービスです。

「この分野に進出した銀行は自らの決断に満足していますが、それを実行するのは困難であり、強気で臨む必要がありました」とセレントのシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・ミーラは述べています。

本レポートは、金融機関によるAPO/AROへの参入を促す市場のダイナミクスや、これらの普及を促進または阻害する要因について論じています。また、APO/AROソリューションの機能を紹介するとともに、金融機関が既存のキャッシュマネジメント商品を金融サプライチェーンの上流にも適用するための論理的な方法を示し、これらのソリューションの市場機会を検証しています。さらに、先行組みの銀行6行がいち早くAPO/ARO分野に参入した過程を明らかにし、その中でさらに人事のアウトソーシング(HRO)を手掛ける銀行の例を紹介しています。

本レポートは20図と5表を含む全51ページから構成されています。

注)ドルから日本円への換算レートは、2007年2月28日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。