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リスク管理の未来像 パート2:リアルタイムリスク管理の可能性を最大化するヒント

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2015/09/07

Abstract


今回は、金融機関とテクノロジープロバイダーがダイナミックなリスク管理を可能にするリアルタイム機能をより有効に利用するためのヒントを探っています。


KEY RESEARCH QUESTIONS
1 リスクおよび資金管理を一体化した規制の比重が高まるなか、現在の取り組みはこれに持ちこたえられるか?

2

リスクおよび財務データのシステムアーキテクチャの統一にはビジネス上のメリットがあるか?
3

成功に向けた戦略として何が重要か?


リアルタイムのリスク管理は決して最先端の手法ではありませんが、そのポテンシャルはいまだ十分生かされていないのが現状です。シリーズ第2弾となる今回のレポートでは、リスク管理のよりダイナミックな枠組みを追及している金融機関のトレンド、戦略およびケーススタディを紹介しています。

2008年以降、欧米のトップ銀行は自己資本の拡充を進め、欧州のトップ20行は3,000億ユーロ超、米銀のトップ銀行は1,750億ドルをそれぞれ増強しています。法令違反、不正行為、サイバーセキュリティーの脅威、1秒未満の間に発生する「フラッシュクラッシュ」などに伴う罰金、損失、訴訟がもたらす打撃は銀行を悩ませつつあり、それらにかかるコストは昨年だけで1,500億ドルを超えています。

自己資本、行為規範、リスク選好をめぐる規制強化の動きが続くなか、金融機関はリスク・リターン特性を踏まえて取引執行時の判断にますます重点を置かざるを得なくなり、リアルタイムによる取引前のリスク管理体制を整えることでフロントオフィスによる貸し出し、取引、ヘッジ取引の資本効率を高める必要性がさらに増すでしょう。新たな市場構造と監視体制は、情報およびデータをダイナミックかつリアルタイムに近い方法で取得する必要性を示しています。

こうした暗黙の圧力を受けて多くのセクターでは進展が見られるものの、リアルタイム体制の実現はまだまだ進んでいません。金融機関に取材をすると、それ自体がビジネスケースとして確立しているわけではなく、取引の性質、リスク選好のスピード、管理体制に合わせて進められるケースが多いことがわかります。しかし、当局が規制強化に積極的であるほか、モバイルやeコマースが拡大傾向にあり、高性能のコンピューティングテクノロジーが投入され、デジタル化に向けたイノベーションが広がるなか、リアルタイム体制へのニーズとその実現可能性はかつてないほど高まっています。

金融機関が次世代のリスク管理システムを構築するにあたっては、戦略的な市場、業務および規制要件に合致したアーキテクチャを見極めることが成功へのカギとなるでしょう。

「金融機関は業務上のニーズと義務から、さらなる自動化の推進、業務プロセスのデジタル化、テクノロジーを利用した24時間サービスの提供を約束し、その実現に向けて取り組まざるを得ない状況に追い込まれています。今では、業界内でリアルタイム体制に関する表だった議論は見られなくなりましたが、業界全体でリスク管理システムの変革および変換が静かに進行していると思われます」とセレント証券プラクティスのリサーチディレクターでレポートを執筆したキュビラス・ディンは述べています。

レポートではリアルタイム体制をめぐる疑問を取り上げ、金融機関とサービスプロバイダーに可能性を最大限生かすためのより有効なアプローチを提言しています。レポートは9つの図表を含む24ページから構成されています。