アセットマネジャー、アセットオーナー、ヘッジファンドといった世界の機関投資家を対象に、2022年にセレントが行った調査の主な結果
Abstract
長年にわたって暗号資産投資の分野で最も重要な質問は、「機関投資家はこの市場にいつ参入するのか」ということであったが、その答えは、「既に参入している」である。したがって、現在、関心が高まっているのは、機関投資家がデジタル資産に関与しているレベルである。300社以上の伝統的なアセットマネジャー、アセットオーナー、ヘッジファンドを対象にセレントが調査を行ったところ、かなりの数の機関投資家がすでにデジタル資産に投資しており、潜在的な転換点に達していることを示すデータ主導の回答が得られたが、さらに投資を増やすためには、満たすべき重要な条件がまだあることが分かった。
暗号資産専門の投資会社は、相互運用可能なブロックチェーン上にすべての資本市場インフラが構築される日が来ると考えているが、伝統的な機関投資家は、これまであまり確信を持っていなかった。しかし、本調査では、投資家の意識は変化しており、伝統的な投資家もポートフォリオの3分の1をデジタル資産が占める状況を想定する心構えができていることが示された。
また、デジタル資産の導入が加速する好循環があることも分かった。市場が乱高下しているにもかかわらず、回答者の88%がデジタル資産に関する既存の計画を引き続き進めていると回答している。
この調査結果は、伝統的な資産とデジタル資産を組み合わせたハイブリッド型ポートフォリオをサポートする必要があることを示している。古いものと新しいものを統合することは、伝統的なレールがしっかりと敷かれており、多くの場合義務付けられている強固な資本、サイバーセキュリティ、規制、およびコンプライアンスのプロセスによって支えられているTradFi(伝統的金融機関)に適したタスクであり、こうした金融機関は、規制が明確になり、より多くの制度的インフラが整備されれば、市場シェアを伸ばし続けるうえでかなりの好位置に立つことができる。
また、大多数の金融機関が現在、トークン化、ステーキング、およびDeFi(分散型金融)へのアクセスに特に焦点を当てた幅広いデジタル資産に積極的に関与していることも示された。こうした取り組みには、この分野に参入するための準備として、隣接する分野への投資、サービスプロバイダーとの概念実証(PoC)の実施、社内の専門知識とスキル構築への投資などが含まれている。
既存のカストディ銀行は(多くの場合顧客からの要望を受けて)、この分野をサポートするためのサービスを強化している。デジタルネイティブのカストディアンと比べて市場に参入したのが最近であるにもかかわらず、今回の調査では回答者の35%が伝統的な資産運用銀行とカストディ銀行をデジタル資産サービスに利用していると回答している。現在、TradFiのカストディ銀行は今後も勢いを増していくうえで有利な立場にあることが分かっている。