個人のアクティブトレーダー市場の現状:激化する高収益顧客の獲得競争
Abstract
1年間に120回以上の株式売買を行なう個人のアクティブトレーダーは、現在米国内で約35万人いると推計されます。この市場は、2008年まで年平均1~2%の緩やかなペースで拡大を続けるでしょう。
個人のアクティブトレーダーは、依然として米国のリテール証券取引市場の重要なセグメントの座にあります。オンライン投資家人口全体に占めるアクティブトレーダーの割合は比較的小さいものの、ほとんどのオンライン証券会社では高収益取引のかなりの割合をアクティブトレーダーによる取引が占め、利益を生んでいます。セレントの最新レポート「個人のアクティブトレーダー市場の現状:激化する高収益顧客の獲得競争」は、同市場の主要トレンドの概要と分析を示し、またこの分野のリーディング企業を挙げ、今後のアクティブトレーダー層の拡大する見込みについて論じています。
オンライン証券会社は、2000年以前の売買高に対応するためのシステム投資の後、現在は過剰設備を背負い込んでいる状況です。一方、手数料の引き下げ圧力は一向に収まらず、今後も下落傾向が続く見通しです。唯一の明るい材料は、注文執行や決済の効率化が進み、ほとんどの証券会社で一取引当たりの利益率が上昇していることです。そして、このことが、アクティブトレーダーの顧客セグメントとしての魅力をさらに高めています。
オンライン証券各社は、アクティブトレーダーを引きつけ顧客として確保するため、ここ1~2年の間に数回にわたる手数料の引き下げを実施したり、アクティブトレーダー用にデザインされた高度なツール群やサービスを次々と導入しています。
「リテールオンライン証券会社は、アクティブトレーダー市場におけるシェアを確保し拡大しようと奮闘しています」と、セレントの証券プラクティスのアナリストでこのレポートを執筆したローレン・ベンダーは述べています。「昨今の手数料引き下げは市場全体の拡大にはつながっていません。したがって、数少ない既存のアクティブトレーダーを各社が奪い合うという状況が続いています。市場全体としての供給能力過剰感やアクティブトレーダー向けサービスのコスト高を踏まえると、今後1年半から2年の間に業界再編が進むことが予測されます。」
取引手数料の引き下げに歯止めがかからず、商品拡充コストの増大も続く見通しであるとはいえ、オンライン証券会社にとってアクティブトレーダーが極めて魅力的な顧客セグメントであることに変わりはありません。リテール取引全体の活況は2000年当時の水準までには回復していないものの、他の個人投資家セグメントを上回る数のアクティブトレーダーが市場回帰しています。チャールズ・シュワブなど大手オンライン証券では、今やアクティブトレーダーによる取引高がリテール取引全体の50%以上を占めています。2001年後半以降、その他の投資家層と比べてアクティブトレーダーの重要性の高まりはしっかりとした趨勢となって来ており、証券各社は、収益性の高いこのビジネスにおけるシェアを固守することと競合他社からの顧客獲得に全力を挙げています。
本レポートで取り上げたオンライン証券は、Ameritrade、BrownCo、チャールズ・シュワブ、イー・トレード、フィデリティ、optionsXpress、Scottrade、TD Waterhouse、TradeStationの各社です。
レポートは13の図と3つの表を含む全33ページで構成されています。