米証券業界の2005年IT投資動向: 今後は縮小傾向に
2005/04/26
Abstract
米証券業界のIT投資は2004年から2005年にかけて再び拡大の兆しを見せ始めていましたが、セレントの最近の調査結果では数年後には投資額が縮小に転じると予測します。
セレントの最新レポートによると、米証券会社の間ではITアーキテクチャの合理化や簡略化を模索する動きが広がりつつあり、システム環境の再構築やプラットフォーム統合に向けたプロジェクトが増えています。こうしたプロジェクトは長期化するケースが多いため、証券会社が実際の投資効果を得るまでには、ある程度時間がかかるでしょう。
セレントのCEOで今回のレポートを執筆したオクタビオ・マレンジは次のように指摘します。「証券業界のIT投資が今後も現在の成長率を維持していくというのが一般的な見方ですが、私たちはそう考えません。逆に、2008~2009年には投資の縮小が見込まれます。これは、ビジネスの失速に起因するのでなく、システム統合プロジェクトに着手したり、ITアーキテクチャの合理化を追求しようとする証券会社が増えているためです。」
レポートは、証券ビジネスの主要トレンドやシステム上の課題、システム統合プロジェクトの影響について検証しています。また、2005年IT投資の証券会社別内訳を紹介しています。中でも、メリルリンチとモルガン・スタンレーの投資額はともに20億ドル(約2,100億円)超と突出しています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年4月28日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。