リモート・デポジット・キャプチャーのベストプラクティス:導入成功例の7つの特徴
Abstract
リモート・デポジット・キャプチャーを効果的に導入している金融機関は戦略、組織、手法において共通した特徴があり、彼らは圧倒的な優位に立っています。
米国金融機関ではリモート・デポジット・キャプチャー(RDC)が急速な勢いで普及しつつあります。2007年末までには4,000以上の金融機関がRDC製品を導入するとみられ、その普及の速さは米国の金融業界史上でも異例といえるでしょう。
しかし、これに比べると顧客側での普及はあまり進んでいません。2007年3月にRDCベンダー、アグリゲーター、ハードウェアメーカーを対象に行った調査では、顧客サイドの累積実装台数は11万2,000台にとどまっており、1金融機関当たりではわずか38台となっています。銀行間の格差は大きく、RDCを効果的に実装している銀行は顧客サイドの実装台数で圧倒的な優位に立っています。
トップ金融機関とその他の比較 | |
市場セグメント |
顧客側での平均実装台数 |
RDCを効果的に導入している金融機関 |
4,200 |
それ以外の米国市場 |
19 |
米国市場の平均 |
38 |
出所: セレントによるベンダーデータの分析と導入金融機関への取材 |
セレントはRDCベンダーの協力を得て、RDCの導入と実装状況を把握するため、あらゆる形態や規模の金融機関について調査しました。その結果、RDCの効果的な導入に成功している金融機関には以下のような共通の特徴があることがわかりました。
1. RDCの将来性についての確固たるビジョン
2. 経営陣の支援と認知度
3. 現実的なリスク評価
4. 明確な目標に基づく販売・マーケティング部門への大規模投資
5. リテール銀行各支店の関与
6. 個別および追加的なセールスインセンティブ
7. 緊張感
「上記1~3の特徴は、いずれも金融機関が社内でRDCをいかに対処しているかを示し、残りの4つは、RDCを導入した金融機関がそれをいかに市場に取り入れているかを示しています。言い換えれば、あとの4つは最初の3つを具体化させたもので、金融機関の対外的なスタンスといえます。RDCの効果的な実装を成功させる上では、1つ目の特徴が最も重要なポイントです」とシニアアナリストでレポートを執筆したボブ・ミーラは述べています。
レポートでは以上の7つの特徴に加え、それに伴う販売、マーケティング、業務のベストプラクティスについても詳しく説明しています。
これら7つの特徴が、規模に関わらず金融機関にとってRDC実装の成否を決定しています。また、今回は高度に差別化された製品や最高水準の製品については敢えて言及していません。市場内での格差がありすぎるからです。現時点では、他に先んじて導入を進めた金融機関が圧倒的な優位に立っています。しかし、今後個人顧客を巡る競争が激しくなるにつれ、競争力の高い製品やサービスの重要性が高まるでしょう。
また、上記の7つ特徴では業務上の優位性については言及していませんが、RDCが製品としていまだ発展途上であることを踏まえれば妥当といえるでしょう。RDCが成熟する過程で、業務におけるベストプラクティスが競争に勝つ上でより重要になるでしょう。
本レポートは15図と19表を含む全50ページで構成されています。
本レポートで取り上げたベンダーおよび金融機関はGoldleaf Financial Solutions、RCB Bank、West Coast Bank、Zions Bancorporationです。