Automating Level 1 Alert Investigation with AI
Abstract
「Regtech Solution Brief」とは、セレントが特に注目するベンダーの概要を説明し、Regtechソリューション/ 戦略に関する最新情報をセレントリサーチサービスの顧客にタイムリーに提供することを目的とした新しいレポートシリーズである。
金融機関は、金融犯罪コンプライアンス業務において多額のIT/ 業務費を投じているが、こうした業務の大半は、検出エンジンによって生成された膨大な量の偽陽性を調査し、解決するという厄介な手作業が占めている。近年、金融機関は規制当局による監視強化への対応を図るために人材の採用を増やしてきたため、業務コストと調査チームの規模が急激に拡大している。こうしたアプローチは、ハイパーデジタル化の時代を迎えてデータが増え続ける中、持続不可能であることが明らかになりつつある。
人工知能(AI)や機械学習(ML)といった次世代テクノロジーは、調査プロセスの大部分を自動化すると同時に、調査手順を合理化してリスクを軽減する機会をもたらす。レグテックのスタートアップであるSilent Eightは、AIを活用したソリューション「Silent Eight Alert Resolution (SEAR)」を開発した。このソリューションは、ウォッチリスト・スクリーニングにおけるレベル1アラートの調査プロセスを自動化するよう設計されている。Silent Eightは、過去の事例における判断と継続的な学習に基づいて人間の論理的思考を再現することに焦点を当てている。同社のAIモデルは金融機関の方針とプロセスによって完全に監視・管理されており、常に人間が関与している。Silent Eightは調査されたアラートごとに、自然言語生成(NLG)技術を使用して記述された説明や論理的根拠に基づき、判断を提供している。
SEARのような自動化されたアラート調査ソリューションは、レベル1アラートの調査における非効率性とコストを削減しプロセスに一貫性を持たせると同時に、人的バイアスを排除する必要がある。各企業の方針と過去の調査に基づいて分析を行うというSilent Eightの戦略は、調査プロセスに一貫性を持たせると同時に人的バイアスを排除することで、リスクを軽減する機会を提供している。量的削減よりも正確さを重視する同社のやり方は、単なるコスト削減ではなくリスクの軽減に注力する姿勢をさらに浮き彫りにしている。
レグテックベンダーの分野は混み合っており、当初は成功してもその後は勢いに乗れずにいるプレーヤーが多い。したがって、Silent Eightの今後の課題は、世界最大手の銀行や地域銀行の一部が含まれている既存の顧客基盤を拡大し、現在取り組んでいるトランザクションモニタリングアラートについても同様の調査自動化ソリューションを開発し運用することである。