資金サプライチェーンの電子化実現 に向けて 第2部:進行役を担うソリューションプロバイダーを評価
Abstract
B2B(企業間)取引の電子化に向けた取り組みは長い道のりですが、決して不可能なことではありません。セレントの予測では、北米トップ企業1,000社における買い手または売り手主導型アプリケーションの採用比率は2004年の推定34%から2008年には54%に拡大するとみられます。
セレントの最新レポート「資金サプライチェーンの電子化実現に向けて」は、電子資金サプライチェーン向け既存アプリケーションと今後の市場動向について分析しています。その結果、これらソリューションに対する需要は増大の兆しを見せ始めており、これまで採用が伸び悩んでいた理由は需要の読み違いというより、市場の未成熟に因るものであったことが明らかになっています。今後、これらソリューションの採用ペースを加速させるためには、以下の要因がカギになると思われます。①より良いバリュープロポジション(価値の提案)のための機能強化を継続する、②企業の効率性向上を促す財務上の圧力が増す、③財務取引の透明性と整合性に対する当局の要請が強まる、④ユーザー企業のコストと価値の比率にニーズに合った価格設定をする、という4点です。
本レポートの著者でセレントの銀行グループマネージャーであるアレンカ・グリりッシュは次のように述べています。「90年代後半には電子請求や電子決済向けソリューションの採用にはかなりのリスクが伴うとみられており、これが最初のハードルとなっていました。当時はこれらソリューションの導入成功例は比較的少なく、ベンダーに対する信頼度も低かったといえます。現在は、ハネウェル、ペイレス、Verizonといったトップ企業がこうしたソリューションの利用を積極的に進めており、一方ソリューション提供側としては、オラクル、SAP、FDCといった巨大ベンダーも市場シェアの拡大を図っていることもあり、電子資金サプライチェーン向けソリューションはようやく市民権を得ると同時に有力分野としての地位を維持しています。」
このまま有力分野として生き残っていくためには、少なくともある程度のソリューションの標準化が必要であると同時に、買い手と売り手の双方にとってソリューションとネットワークの接続が可能であることが求められます。しかし、セレントのみるところ、ソリューションまたはネットワークが統一される可能性は低いとみられます。むしろ、様々なモデルやソリューションが共存し、影響し合う中で、相互運用性のある製品が開発される公算が大きいといえるでしょう。すでに相互接続を模索する動きも見え始めています。
このレポートで比較・分析の対象としたベンダーは、Avolent、BCE Emergis、ボトムライン・テクノロジーズ、ドイツ銀行、edocs、オラクル、PowerTrack、SAP、Velosant、Xignの10社です。