ダイレクトバンキングの第三幕: 「ブリック・アンド・クリック」の勝利
Abstract
(このレポートは2006年8月8日に"Direct Banking’s Third Act:Brick-n-Click Wins the Day"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2007年4月3日に発行しました。)
セレントの予測では、「ブリック・アンド・クリック(実店舗とオンライン店舗の混合型)」銀行の預金残高が、2010年までにはオンライン口座の合計預金残高の19%を占め、7,200万米ドル(約83億円)を超える見通しです。
最新レポート「ダイレクトバンキングの第三幕:ブリック・アンド・クリックの勝利」において、セレントは「オンライン専業」銀行20行の業績を分析し、「ブリック・アンド・クリック型」銀行の経済モデルを示しています。分析からわかるのは、「オンライン専業」銀行の業績の失墜はまだ払拭されていなかったということです。ほとんどの銀行が預貸利ざやの薄さを構造コストの削減で補いきれずにいます。これに対して、「ブリック・アンド・クリック型」銀行の経済モデルは、「オンライン専業」と「従来型」のいずれのモデルにも勝る高い将来性を示しています。 セレントの分析では、「ブリック・アンド・クリック型」銀行は預貸利ざやを最大25bp低く設定しても、預金残高の25%をオンラインで獲得できれば、効率性、利益率双方で優位に立てることが分かりました。
「銀行は、今日の成熟市場においては、この「ブリック・アンド・クリック型モデル」戦略が有効であることに気づくでしょう。この市場では、預金獲得戦略の革新性が競争優位の決定要因であるからです。一方、市場平均を大幅に上回る金利を適用するインターネット専用口座が、有効な手段であることもわかります。しかし、銀行にとって預貸利ざやを長期間200bp以下に抑え続けることはできないので、市場平均を400bpも上回るようなティーザーレート(顧客獲得のための優遇金利)の提供期間は長くありません」と語るのは、セレント銀行プラクティスのマネジャーで本レポートの共著者であるアレンカ・グリリッシュです。
魅力的な金利水準が、オンライン銀行の長期的な成長を保証するものではありません。「第三幕で成功を収めるプレイヤーは、次の4点をファクターにして収益拡大を実現するでしょう。:①クロスセリングの機会を取り込む統合チャネル戦略、②優れたマーケティング能力、③ユーザーフレンドリーなテクノロジー、④確かなセキュリティ」と、セレントのシニアアナリストで本レポートの共著者であるマダビ・マンサは述べています。
本レポートは10図と9表を含む全42ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。