ブラジル保険業界:市場とIT投資の概要
Abstract
ブラジル経済の健全化を背景にした保険市場の成長は、保険会社によるIT投資の増加につながるでしょう。
保険会社は、コストを管理しながら、長期的な競争力の持続をサポートするテクノロジーの利用方法を見つけださなくてはなりません。これが、セレントの最新レポート「ブラジル保険業界:市場とIT投資の概要」の見解です。レポートでは、同国の保険市場におけるビジネストレンドの主流とその動きがIT投資に及ぼす影響について検証しています。
ブラジル市場は、世界の注目すべき新興市場の1つと見なされています。同国は南米の近隣諸国と同様、インフレ率の急騰、通貨の切り下げ、多額の政府債務、高金利、高税率といった深刻な経済問題を抱えてきました。現在、同国の保険市場はインドとほぼ同規模で、2005年の保険料収入は235億米ドル(約2兆7,000万円)を記録しました。小規模ながら、確かな成長率を示しており、2011年までには保険料収入の倍増が見込まれています。
いくつかの要因がブラジル保険市場のこの成長を推し進めています。例えば、経済の健全化、業界再編、保険の役割が社会的に認められてきていること等です。しかし、保険会社にとっては、ブローカーに委託された役割、銀行の優越性、国有企業による再保険市場の独占、規制強化に伴う負担増等が、依然として難題をもたらすでしょう。このような外的な課題に加えて、コスト削減圧力も続いていることから、保険会社にとって、テクノロジーが今後数年間の競争力維持をサポートする主要な役割を担っています。
セレントの予測では、ブラジル保険業界の2006年のIT投資総額は5億9,600万米ドル(約685億円)に達する見通しです。保険会社によるIT投資は継続し、今後数年間はIT予算の増加が見込まれます。この予算増加傾向と市場拡大によって、2011年には業界のIT投資総額は12億米ドル(約1,380億円)に達するでしょう。
このテクノロジーサポートの潮流の一部は、プロセスの産業化につながるでしょう。「ブラジルの保険会社は、米英等の他国と比べてプロセスの標準化や自動化において遅れをとっています」とセレントのシニアアナリストでレポートの執筆者であるキャサリン・スタッグ‐マーシーはコメントしています。「テクノロジーはこのプロセスの標準化と自動化という目標達成の上で、大きな役割を担っています。それは、例えば、ビジネス・ルール・エンジン、ワークフロー、文書管理、保険契約管理システムといったツールを使ったストレート・スルー・プロセッシング(STP)の自動化をサポートすることです。」
本レポートは5図と8表を含む全26ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年7月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。