401kテクノロジー・アップデート: 困難な舵取りが続く
Abstract
401kプランのプロバイダーは、過去2年間にわたり市場の激動、手数料の値下げ圧力、企業スキャンダル、競争激化といった厳しい事業環境に直面し、その実力が試される状況が続いてきました。競争を勝ち抜き利益率を維持するためには、これまで以上にシステムの強化が不可欠な要因として浮かび上がっています。
セレントの最新レポート「401kテクノロジー・アップデート—困難な舵取りが続く」(全34ページ)は、401k市場の変動要因を検証するとともに、プロバイダーがシステム強化、技術開発、事業戦略の転換などを通じて市場の変化にいかに対応しているかについて明らかにしています。また、現在業界を代表する401kのプランプロバイダーとしてフィデリティ、プリンシパル・グループ、トランスアメリカ、ワコビア、エクスパートプランを取り上げ、この5社についても詳しく分析しています。
「金融サービス業界のほとんどの分野では過去2年間にIT予算が縮小していますが、401k関連のIT投資は厳しい市場状況にもかかわらずこの2年間ほぼ同水準を維持してきました」 と、セレントのシニアアナリストで上記レポートの共著者であるパメラ・ブリュースターは述べています。「コストを抑制しつつ、増え続けるスポンサーの要求に答えようとすればIT投資は不可欠です。また、この業界はプロバイダー間の競合意識が強く、既存システムの強化や新システム機能の開発を促す圧力が強いといえます。」
セレントの推計では、401kプランのプロバイダートップ50社による2003年のIT投資総額は1億3,250万ドルに達した模様です。 このうち約3分の2は既存システムの強化に使われ、残りの3分の1が新規プロジェクトに投入されたとみられます。
プロバイダーが行なったシステム強化や改革のうち本レポートで特に注目しているのは、プランスポンサー/プラン加入者向けオンライン機能の向上、ペーパーレス化プロジェクト、アドバイスのマルチチャンネル化、XMLおよびWebサービスの採用などです。さらにマネジド・ポートフォリオの増加とこれを可能にするシステムについても注目しています。「これまでのシステムではポートフォリオ別に必要なカスタマイズをしようとすると時間がかかり、コストも高くなっていましたが、今日のシステムでは低コストでマス・カスタマイゼーションが可能となっているのです。また多くのプロバイダーは、自社が運用するポートフォリオの運用報酬を資産の35~65bpに設定しています」とレポートの共著者でシニアアナリストのクレイグ・ウェバーはコメントしています。セレントの予想では、10年後には401kプランの大半をこのようなポートフォリオが占めるとみられます。10年後には401kプランの大半をこのようなポートフォリオが占めるとみられます。
本レポートは、e401k市場の変化についても焦点を当てています。2年前には同市場の主導権はベンチャー企業が握っていましたが、今やこれらの企業は廃業したか、事業転換を図っています。実際のところ、規模の小さい同市場で収益性を確保することは依然として難しいといえます。