2012年セレント・アジア・モデルインシュアラー:保険会社のテクノロジー有効利用に関するケーススタディ
Case Studies of Effective Technology Use in Insurance
Abstract
セレントのモデルインシュアラー・アワードは、世界の保険会社がテクノロジーの分野で実践している最高レベルのベストプラクティスを表彰するもので、いまや業界スタンダードとして認知されるようになってきました。アジアでは地域固有のビジネス課題が存在するため、保険会社向けテクノロジーも独自の経緯で進化しています。また、この地域特性の影響によって、欧米よりも進んでいる点も多くあります。そこでセレントは、アジア独自のプログラムとして「セレント・アジア・モデルインシュアラ―」を立ち上げ、アジア太平洋地域の保険会社が最近導入したプラクティスの中から、ベストプラクティスとなり得る事例を特定することにしました。
もちろん、「モデルインシュアラー(モデルとなるべき保険会社)」はひとつに限定されるわけではありません。どの保険会社も、テクノロジーに関しては成功と失敗の両方を経験しています。それゆえこの調査では、実際にテクノロジーを有効活用している事例をできる限り多く集め、その中から優れた実践手法を「モデルインシュアラー・コンポーネント」(理論上のモデルインシュアラーが採用しているITシステムとプラクティスの構成要素)として紹介します。
今年で2回目となるアジア地域のモデルインシュアラーですが、今回は17の「モデルインシュアラー・コンポーネント」を紹介します。
テクノロジーの有効利用に関するこれらのベストプラクティスは、ビジネスルール/プロセスプロセス管理、保険金請求、販売、システム管理、マーケティング、保険契約管理、商品設計/定義、再保険およびリスク管理、サービス、引受けなど、商品と保険契約者のライフサイクルにおける重要分野を幅広くカバーしています。レポートでは、ITに関するベストプラクティスや、選定基準となった業務実績についても検証しています。
2012年のアジア・モデル・インシュアラー・コンポーネント
- AIA Australia:
ルールに基づくSTPプラットフォームを導入し、団体保険市場に特化した、簡潔で使いやすいオンラインの保険申請プラットフォームを構築 - Baoviet Holdings:
最新の保険契約管理システムを導入し、ビジネスモデルを分散型の「支店の集合体」から最先端の集中型オペレーションセンターに移行したことで、本部の主導によるベストプラクティスとコストの効率化を実現 - Calliden Group Limited:
システム管理を効率化し、3つのレガシーシステムを、革新的なオンライン査定エンジンをベースに構築された、全く新しいITプラットフォームに移行させることに成功 - China Continent P&C Insurance Co.:
BPMとコンテンツ管理、ビジネスインテリジェンス・ソリューション、ルールエンジンを統合した自動車保険引受けシステムを導入することで、業務の効率化とリスク管理の強化を実現 - HDFC Standard Life Insurance Co. Ltd.:
顧客の定着と保険料の円滑な徴収を実現するため、代理店およびサポートスタッフへの支援を可能にするシステムを導入 - Huatai Life Insurance Company Ltd.:
引受け手続きの自動化を実現するルール管理プラットフォームを導入し、保険金請求と手数料計算の自動化に再利用できる体制を構築 - IndiaFirst Life Insurance Company Ltd:
顧客に取引前、取引および取引後のサービスを提供するため、双方向形式の直観的なデジタルセルフサービスチャネルを構築 - JLT Reinsurance Brokers Limited:
「ダイナミック・フィナンシャル・アナリシス」ソリューションを導入し、業務拡大に成功 - Lifenet Insurance Company:
インターネットによる生命保険商品の直販を可能にするクラウドベースのオンライン生命保険申請システムを導入 - Macquarie Life:
革新的な商品の市場投入と販売チャネルの利用を促進する、ルールに基づくSTPプラットフォームを導入 - New India Assurance Co. Ltd.:
システムを単一のコアプラットフォームに統合し、組織全体の標準への対応と顧客および販売チャネル向けサービスの向上を実現 - PICC Health Insurance Company Ltd.:
医療保険プラットフォームを導入し、保険金請求手続きの自動化を促進し、保険金請求のリスク管理を強化 - Prudential Life Insurance Company of Korea:
システム近代化プロジェクトを立ち上げ、機能と柔軟性を強化 - PT Prudential Life Assurance, Indonesia:
ワークフロー自動化プロジェクトを通じて、新規顧客獲得および保険金請求業務の効率化を向上 - Tata AIG General Insurance Company Ltd:
複数チャネルの同期化とクロスセリング/アップセリングの機会拡大を実現するため、顧客リレーションシップ管理プラットフォームを導入 - Tata AIG General Insurance Company Ltd:
ターゲット顧客を明確に設定した商品群、旅行保険向けのオンラインSTPプラットフォームなど、様々なマーケティング活動を展開し、オンライン販売を拡大 - Union Assurance PLC:
商品設定、査定、引受けを外部委託することで、柔軟性の向上と商品化のスピード化を実現
「テクノロジーの有効活用は、テクノロジーそのものの追及より重要です。このことは、今回選ばれた全てのモデルインシュアラー・コンポーネントに共通するテーマであり、各保険会社の決断は称賛に値するといえるでしょう」と、セレントのアジア金融サービスグループのシニアアナリストでレポートを執筆したウェンリ・ユアンは述べています。
「業界スタンダードとして認知される『モデルインシュアラー』の手法をアジア地域のテクノロジープロジェクトに適用する「アジア・モデルインシュアラー」は今年で2年目になります。今回も幅広い分野から応募が寄せられましたが、モデルインシュアラーに選ばれた各プロジェクトは、アジアの最先端の保険テクノロジーを代表するものです」と、アジア金融サービスグループのシニアバイスプレジデントであるニール・カタコフはコメントしています。
セレントでは2011年7月にモデルインシュアラー・コンポーネントの募集を開始し、保険チームが実際のビジネス成果に基づいて17のプロジェクトを選びました。レポートでは、各コンポーネントのビジネスドライバー、テクノロジー、事業環境、定量的な成功指標などについて説明しています。