商業用損害保険の販売:順風満帆?
2015/09/14
REPORT PREVIOUSLY PUBLISHED BY OLIVER WYMAN
Abstract
保険会社やブローカーは保険データのデジタル化を急速に進めており、「付保可能なリスクの一覧」が提供されるようになるのもそう遠くないでしょう。これが新しい世界の幕開けとなり、保険会社は自社にとって勝算が高く、収益が見込まれる分野に効率よく的を絞れるようになるとみられます。
保険会社やブローカーは既に高度な予測アルゴリズムを構築しており、そうしたモデルを使うことで、引受人はどの案件の見積もりを提示すべきか、ブローカーはリスクに応じてどの保険会社を選ぶべきか判断できるようになっています。保険会社とブローカーが、リスクマップとモデルに基づいて、お互いにシグナルを出しあえるようなチャネルを構築できれば、販売全体の効率性は格段に上昇するはずです。
しかし、その過程で大きな障害となるのはデータや分析ではなく、引受人やブローカーの間に深く根付いた行動パターンを更新することです。これによって透明性が高まれば、業界の階層構造を根底から揺がすことになるでしょう。規模は重要でなくなり、既存の体制や関係性を破壊するチャンスが多くのプレーヤーにもたらされるはずです。勝者となるためには、他に先駆けて行動を起こし、マップおよびモデルの迅速な構築を進めるだけでなく、行動を変えることがカギとなるでしょう。