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日本における決済インフラの動向 パート3:新興テクノロジーと代替インフラの隆盛 ― ホールセールペイメント編【日本語】

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2020/03/05

世界中の国や地域が、金融市場インフラ(FMI)の高度化への取り組みを加速しています。それは24h/ 7dリアルタイムペイメント対応の決済インフラ提供に止まらず、その付加価値サービスの提供を通じて、次世代金融サービスのイノベーション・アリーナに進化しつつあります。日本の決済インフラは今、新興テクノロジーの普及と新たなビジネスモデルの隆盛の両面から極めて重要な段階にあります。

Key research questions

  • 日本における決済インフラの課題と取り組みは今何処にあるか?
  • 決済インフラ高度化のグローバル動向は何処まで進んだか?
  • 新興テクノロジーと代替インフラの進展は?

Abstract

日本においては、世界に先駆けて1973年の第1次全銀システム稼働当初から、平日日中帯に限りリアルタイムペイメントを実現していましたが、2018年10月に「全銀モアタイムシステム」が稼働したことにより、24h/7d対応のリアルタイムペイメントが実現しました。諸外国においては、決済インフラを刷新することによりリアルタイムペイメントと24h/ 7dの対応が同時に進展し、2008年の英国を皮切りに2017年後半までに北米、欧州の主要な国・地域においてその対応が完了しました。一方、こうしたFMIの提供する決済インフラの高度化に対して接続する金融機関側の利用状況は国・地域によって大きく異なります。

決済インフラのグローバル動向:24h/ 7d リアルタイムペイメントの進展

本「日本の決済インフラ」レポートシリーズは、セレントのペイメントタクソノミーに基づき4つの切り口、すなわちA) 決済手段とチャネル、B) 法人決済(ホールセール決済サービス、大口決済サービス)、C) 個人決済(小売店を含むリテール決済サービス、小口決済サービス)、D) 金融市場インフラ(FMI)の最新状況を分析します。これまで、そのPart 1において全国銀行データ通信システム(全銀システム)を、Part 2で日本銀行金融ネットワークシステム(日銀ネット)を考察しました。

本Part 3では、法人決済、すなわち大口決済、ホールセールペイメントに注目し、決済インフラの高度化、新たな技術の隆盛とサービス事業者の出現、そこでの新たな価値とリスクの連鎖を考察し、決済サービスの高度化やディスラプティブな決済サービスの創出において考慮すべきグローバルトレンドと、日本市場の現状、今後の取り組みについて言及します。また、続くPart 4では、決済手段とチャネルの多様化の進展、特にリテール、小口決済サービスの動向、新たな事業者とテクノロジー利用を分析します。