STPとブローカー・ディーラー
Abstract
ブローカー・ディーラーが、業務リスクの軽減やコスト削減を目指してストレート・スルー・プロセッシング(STP)に投入する資金は、2008年までに33億ドル(約3,700億円)に達するでしょう。
STP関連プロジェクトを復活させる動きが広がっていますが、ブローカー・ディーラーはその恩恵を受ける理想的な立場にあると言えるでしょう。「T+1」の復活の見込みはありませんが、STPの実現に向けた再挑戦は、ブローカーの業務リスクの軽減やコスト削減に寄与するでしょう。過去のSTPプロジェクトには失敗に終わったケースもありましたが、2005年のSTPの推進要因は根本的により堅実です。今やSTPへの投資やその採用の是非は、トップダウンの規制命令に従うというより、コストや効果の分析とビジネスモデルの変化に基づいて判断されています。
セレントの最新レポート「STPとブローカー・ディーラー」は、STP進展の経緯、現状、今後の方向性について、いずれもセルサイドの証券会社の見地から解説しています。
レポートを執筆した証券プラクティスのアナリストデビッド・イーストホープは次のように述べています。「セルサイドの証券会社は、バックオフィス業務を通じて自らの課題や変更要求に対処することができます。バックアップ業務の自動化は、コストの低減や執行のスピードアップを実現するためのカギとなります。そして、それは既存顧客のニーズを満たすことだけでなく、リピート顧客を獲得する上でも不可避の課題です。STPを取り巻く状況は変化しているとはいえ、その目的に変わりはありません。すなわち、例外を最小限に抑えること、そして、人的介入なしに可能な限り多くの取引の執行・決済を処理するということです。証券会社は、新規サービスの提供、顧客の獲得と維持、コスト削減といった多くの重要課題に直面していますが、STPがこうした課題克服の手段にもなり得るのです。そのためには、STPを促進するためのIT投資が欠かせません。」
本レポートでは、STPの進展状況とセルサイドの証券会社が抱える課題、競争上の優位をもたらすSTPの役割について検証しています。また、大手証券会社によるクロスボーダー取引向けSTPソリューションの導入例にも注目しています。
このレポートは9図表を含む27ページで構成されています。
注)米ドルから日本円への換算レートは、2005年8月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。