中南米の資本市場:市場機会を読み解く
Abstract
中南米の資本市場は、大手のグローバル金融機関やベンダーにとって非常に魅力的な市場です。この地域で最大の経済規模と銀行システムを誇るのはブラジルで、メキシコがこれに続いています。今回域内の4つの市場を取り上げ、各市場の社会経済および市場競争力に関する指標を比較したところ、総合的なパフォーマンスが最も高いのはチリであることがわかりました。
中南米地域の多くの国は、資本市場の現代化に取り組んでおり、そのプロセスは国によって違いがみられるものの、各市場とも正しい方向に歩み出しており、これまでになく積極的に海外投資を受け入れています。
これらの市場では、既存インフラの拡大・近代化に向けた動きに、規制当局も関与し、インフラの効率性および競争力の向上をめざして、管轄下の取引所や証券会社に先進的なグローバルテクノロジーの導入を促しています。中南米地域がここ10年ほど比較的高い経済成長率を記録してきたことも1つの要因として挙げられます。ただし、ここにきて経済成長は減速傾向にあります。
「中南米地域について考える際には、規制や発展段階などの面で主要国の資本市場とは大きな違いがあることを認識することが重要です。とはいえ、大手のグローバル金融機関はこの地域の資本市場に適切な投資を行っており、今後数年はこうした傾向が続くとみられます」とセレント証券グループのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。
本レポートは、3回シリーズの第一弾です。レポートでは域内の主要資本市場であるブラジル、メキシコ、コロンビアおよびチリについて紹介し、市場および社会経済指標に基づいてこれらを比較し、各市場における証券会社および資産運用会社の分布状況、海外および国内ベンダーの勢力図を紹介しています。シリーズの第二・第三弾ではブラジルとメキシコの市場について取り上げ、セルサイドとバイサイドの代表的な金融機関、市場トレンドと特徴、市場の主な原動力、IT投資予測などを紹介する予定です。