中国のクレジットカード市場
Abstract
中国ではクレジットカード市場が急発展を遂げています。同国では2010年までに年収2,000米ドル(約18万円)以上の人口が2億人を超える可能性があり、クレジットカードの潜在顧客と考えられます。現在のユーザーは3,800万人程度であるものの、今後の成長がおおいに期待できます。
セレントの最新レポート「中国のクレジットカード市場」では、カード所有者、消費者セグメント、カード商品、市場の競争状況などを分析しながら、中国のクレジットカード業界のトレンドについて考察しました。
中国のクレジットカード市場は、台湾や香港の市場と大きく異なっています。中国ではリボルビング払いの利用率が比較的低いため、クレジットカード事業の全収入のうち、純利息収入が占める割合は約3分の1でしかありません。また年会費も低めです。クレジットカードを選択する際には、利便性、信用枠の妥当性、年会費、サービス、ウェブサイトなどの要因が重要視されます。
マーケティングに関してはいえば、2005年には職場でのマーケティングが40% を占め、続いて銀行のウェブサイトが35%となっていました。2008年には、銀行のウェブサイトが職場でのマーケティングをはるかに超過しました。また、コールセンターやダイレクトメールなどを通じた低コストの直接セールスも好調でした。このように選好されるチャネルが変化したことから、大手銀行はウェブサイトを充実させ、小規模な銀行は直接セールスを強化するようになりました。とはいえ、インターネットや電話を通じたセールスの割合はなお低めにとどまっています。
中国では所得レベルが最も高い層の年収が総人口の年収の4分の1に相当し、しかもこれが22.5%の成長率で増加中です。高所得顧客のカード利用額は10,000米ドル(約90万円)を超え、通常の利用客の50倍となっています。
「中国の高所得者層は非常に重要な市場です。今後はその重要性がますます高まるでしょう。低所得者層はディカウント、特典、低い入会費などに関心を持つのに対して、高所得者層は付加価値サービスを重視しています」とセレント・アジアリサーチグループのアナリストで本レポートの執筆者であるフア・ジャンは述べています。
年収17,600米(約160万円)ドル以上の高所得者層は主に北京、上海、広州、深センの各市に集中しています。集中化は今後も進むと見られ、2015年には中国全体の高所得者の45%を上記4都市在住者が占めるようになるでしょう。
注)ドルから日本円への換算レートは、2009年10月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。
本レポートは6図と24図を含む40ページで構成されています。