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米金融規制改革法の内容、意義および今後の行方

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2010/07/22

Abstract


党派間の激しい論戦を経て、2010年7月21日に米金融規制改革法(ドッド=フランク法)および消費者保護法が成立しました。金融規制の抜本的な見直しは、ニューディール政策以来となります。これによって規制当局の権力が拡大する一方、金融機関には新たな要件が課せられることになり、その影響はあらゆる金融市場に波及するとみられます。

改革法の成立は金融改革が次の段階に移ることを示しているにすぎず、今後は当局による細則の策定に議論が移る見通しです。規制内容が複雑なことや、多くの決定が当局の手に委ねられたことから、改革法の様々な条項のうちどれが最も重要になるかを予測するのは難しい状況です。

今回の改革法は多くの点で、改革が次の段階に入ったことを意味するものであり、終着点ではありません。条項の多くは、施行までに数ヵ月まだは数年かかる見通しで、ファニーメイやフレディマックの行方といった重要な問題のいくつかは、今後の細則策定に委ねられることになっています。より重要なのは、改革法が明示的となり得るどうかは、もっぱら当局による細則策定に依存するかたちとなり、当局が規制内容を解釈し、細則を施行するまでは同法の及ぼす影響が明確につかめないという点です。①プルデンシャル規制の新基準と銀行以外の大手金融機関への適用②自己勘定取引禁止の厳格化③消費者保護法の適用範囲―といった重要課題については、概ね規制当局に裁量権が与えられています。

結局のところ、監督機関の再形成という課題を克服して金融改革法の効果を持続させることができるかどうかは、主な規制当局の指導力にかかっています。本レポートは、改革法の意味と金融機関の前途についての見解を示しています。

このレポートは8ページで構成されています。