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分散型帳簿システム:進化か革命か?

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2015/12/09

Abstract


ブロックチェーンおよび分散型帳簿システムをめぐる関心とその進化には目を見張るものがあります。これらのテクノロジーは、資本市場全体のしくみに取って代わる可能性があると考えられています。売買高や収益性に大幅な低下圧力がかかり、規制当局の方針によってIT投資の方向性が決まる状況下で、ブロックチェーンは多くの市場関係者の期待を集めてきました。

KEY RESEARCH QUESTIONS
1 資本市場においてブロックチェーンおよび分散型帳簿を導入するメリットは何か?

2

これらのテクノロジーの採用が進むとしてそのシナリオは?
3

分散型帳簿システムは様々な市場プレーヤーにどのような影響を及ぼすか?


本レポート世界の資本市場におけるブロックチェーンおよび分散型帳簿システムの最近の動きとその可能性を論じています。

ブロックチェーンおよび分散型帳簿システムに関する議論では、「金融機関離れ」という言葉が聞かれるでしょう。これらのテクノロジーは非常に強力であるため、金融機関が持つ仲介機能を完全に置き換えてしまうかもしれません。極端なシナリオを想定すると、セルサイドの金融機関、取引所、中央清算機関(CCP)、カストディアン、集中保管機関(CSD)、多くのテクノロジーベンダー、ユーティリティプロバイダーは、ブロックチェーンに依存する資本市場の基本インフラをサポートする新興、あるいはハイブリッド型のテクノロジープロバイダーにことごとく取って代わる可能性があります。

初期段階の動きやトレンドをもとに、ブロックチェーンおよび分散型帳簿システムの採用に関して考え得るシナリオを策定してみましょう。数年後の現実は、このレポートで紹介する複数の異なるシナリオの組み合わせになるかもしれません。これらのシナリオを分析することで、資本市場の方向性を理解していただければ幸いです。

レポートではまず、資本市場にブロックチェーンおよび分散型帳簿システムを導入した場合のメリットについて論じています。次に、こうしたテクノロジーの現在の利用状況と今後に向けて提案されている利用方法を説明するほか、資本市場全体として考えられるシナリオをいくつか挙げています。

「ブロックチェーンおよび分散型帳簿システムにポテンシャルがあることは疑う余地がありませんが、その採用はまだ初期段階にあります。こうしたシステムが徐々に普及すれば、金融業界のバリューチェーンの効率化と凝縮につながる状況が生み出されるでしょう」とセレント証券プラクティスのシニアアナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。