2006年 金利スワップ市場の動向: 新規参入プレイヤーと新たな課題
Abstract
金利スワップ市場に占める電子取引の割合は、2009年までには対顧客取引の42%、ディーラー間取引の22%に達するでしょう。
最新レポート「2006年 金利スワップ市場の動向:新規参入プレイヤーと新たな課題」におけるセレントの見解では、新規参入プレイヤーと規制による圧力が、金利スワップ市場における電子取引の基盤を固めていく見通しです。レポートでは、同市場における電子取引の拡大状況を検証し、取引プラットフォームを数例紹介しています。
過去2年間に、シングルディーラー・プラットフォーム数は飛躍的に増加しましたが、相当数のバイサイド企業がマルチディーラー・プラットフォームへと移行し始めていることから、この増加傾向は鈍化するでしょう。現時点では、シングルディーラー、マルチディーラーのいずれのシステムにとっても、市場拡大余地はあります。しかしながら、欧米諸国における規制環境は厳しさを増しており、「最良執行」はもはや目的ではなく法的要件であるという状況を示しています。
このような状況では、各社はいずれシングルディーラー・プラットフォームから離れて、TradeWebやSwapTraderのようなマルチディーラー・システムに移行していくでしょう。マルチディーラー・システムでは、瞬時に複数のディーラーから気配値の提示を受けられます。また、RFQ (Request For Quote)やプライシングについては、少なくともシングルディーラー・プラットフォームと比べて遜色ありません。セレントは、マルチディーラー対顧客市場における電子取引の急成長を予測しています。ディーラーが流動性を提供し、顧客の電子取引注文フローを管理する手段を取り戻そうと積極的に動いているからです。対顧客取引に占める電子取引の割合は、現在の約9%から2009年までには42%へと拡大するでしょう。
長年にわたって、店頭市場を開拓余地のある肥沃な土壌と捉えてきた証券取引所ですが、当レポートの見解では、その取引所が引続き、金利スワップ取引の執行・決済の両面で前進して行く見通しです。新たなプロジェクトによって、①上場スワップ商品に関するディーラーサポートが増進する、②上場先物取引がディーラー間プラットフォームに移行する、③業務の非効率性や与信問題などに依然として縛られている市場に対して、取引所が決済機能の能力を活用した付加価値サービスの提供を実現する、といった成果が示されています。
本レポートで調査した、取引および執行後のサービス・プラットフォームは以下の通りです:Bloomberg SwapTrader、Thomson TradeWeb、i-Swap (ICAP)、e-Mider、Swapstream、Bloombergの20種類のシングルディーラー・プラットフォーム、Chicago Board of Trade、Chicago Mercantile Exchange、Euronext.liffe、DTCC Deriv/Serv、TriOptima。
本レポートは23図と11表を含む全57ページで構成されています。