コグニティブ・コーポレートバンキング: 法人金融におけるAIの活用
AIの山頂を目指すバンカーたち
Key research questions
- コーポレートバンキングにおけるAIの導入状況は?
- 対顧客アプリケーションで最先端にいるのはどのベンダーか?
- ミドル/バックオフィス向けアプリケーションでトップに立つのはどのベンダーか?
Abstract
AIを活用したコーポレートバンクとは、どのようなものだろう? PoCから実用化へと移行する過程で、そのビジョンが具体化しつつある。
ここ3年間にコーポレートバンキング業務で最先端のAIを活用する動きが加速しており、AI活用のプロジェクトは実用段階に移行しつつある。こうした進捗に伴い、AIを採用したコーポレートバンク(自動化を含む幅広いデジタル戦略の一環としてAIを活用する銀行)の姿が想像しやすくなってきた。コグニティブ・バンクとは、ロボットが業務を担う銀行ではなく、AIを適切に有効活用することによって、人間のバンカーが単純な管理業務よりも付加価値の高い業務に専念できる銀行を意味する。今後10年間に、AIの導入で、バンカーと法人顧客の業務が劇的に変化するだけでなく、競合他社との差別化要因も一変するだろう。
セレントでは、コーポレートバンキング業界の具体例として、銀行と企業向けにAIを提供しているサードパーティプロバイダーを20社以上分析した。本レポートでは、そのうち17社を詳しく取り上げて考察する(Ayasdi、Brighterion、Rage Frameworksを買収したGenpact、HighRadius、IBM、iGTB(Intellect Design)、Infosys、Intel(Saffron)、Mphasis、Oracle、Pegasystems、Pelican、Previse、Sage、TradeShift、Wipro、WorkFusion)。最先端AIを直接企業に納入している有力プロバイダーを取り上げたのは、AI導入の先例を作っているのはこうした銀行以外のプロバイダーであり、その過程で企業の期待感が高まっているからである。銀行にとって、こうした動向を認識するのは重要なことだと考える。