2013年 金融業界の現状レポート:マネーと情報ビジネス
2013/01/24
REPORT PREVIOUSLY PUBLISHED BY OLIVER WYMAN
Abstract
今年の「金融業界の現状レポート」は、金融業界にとって最大のビジネスチャンスであると同時に最大の脅威でもある「情報」について取り上げています。といってもその内容は「ビッグデータ」に関するものではなく、膨大な額に上る市場価値がどのように移動し、どこに行き着くのかを検証しています。
このレポートをタブレット端末で読んでいる方もおられるでしょう。2008年に同じテーマのレポートを発行した際には、おそらく違う媒体で読んでおられたでしょう。今やスマートフォンを使って移動経路の検索、ニュースや株価のチェック、諸々の予約をすることや、音楽を聴くことはごく当たり前になっています。5年前はそうではありませんでした。フェースブックを通じて友達とやりとりをし、ストリーミングで映画を鑑賞、といったことは、おそらく5年前には、あまり一般的ではなかったと思われます。
しかし、銀行や保険会社に勤めている人からみれば、情報の急速な拡大にもかかわらず、仕事の内容はほとんど変わっていないというのが現状ではないでしょうか。商品の価格設定、融資や保険契約の引受け、運用業績の評価、顧客のセグメント化、顧客満足度の把握などはどのような方法で行っているでしょうか。おそらく2008年当時(あるいはそれより10年もしくは20年前)とほとんど同じではないかと思われます。従来型の金融機関は膨大な量の情報を作成、消費、発信しているにもかかわらず、最も重要な意思決定の方法を変えるまでには至っていません。
従来型の金融機関は2つの重大な問題を抱えています。1つは短期的な利益目標が重荷になっていることで、もう1つは既存のビジネスモデルが戦略上の脅威にさらされていることです。この問題を同時に解く鍵があります。それは「情報」です。