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リアルタイム決済:その神話を覆す【抄訳版】

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2014/08/05

Abstract

(このレポートは2014年8月5日に"Real-Time Payments: Dispelling the Myths" というタイトルで英文で発表されましたが、抄訳版を2014年10月3日に発行しました。)
*ダウンロード:レポート(日本語)=抄訳版PDF、(英語)=原文レポートPDF

リアルタイム決済は、2013年に最も話題となったテーマの1つです。その背景には、オーストラリアや米国でリアルタイム決済システムの導入計画をめぐる議論が盛り上がったことがあります。一方、このテーマに関する誤解は少なくありません。

新しいテーマについて根拠となり得る事実が十分でない場合、人々は思い込みによって振り回されがちです。リアルタイム決済をめぐる通説の中には、細かい点で誤りがあるだけでなく、全く間違っているものも見受けられます。

本レポートではリアルタイム決済の現状を明らかにしつつ、同決済について本格的な検討に着手していない銀行は後れを取りかねないと警告しています。また、このテーマに関する通説を詳しく検証し、銀行に及ぼす影響を分析し、その国でリアルタイム決済の導入を迫られているかどうかにかかわらず、銀行が現時点で検討すべき事項を示しています。

リアルタイム決済をめぐる神話は、主に4つあります。

  1. 「リアルタイム決済が導入されているのはごく一部の国でのみである」
    リアルタイム決済システムが少なくとも1つ導入されている国は少なくとも35に上っています。
  2. 「リアルタイム決済は最近のイノベーションである」
    実は40年以上も前から存在しています。
  3. 「リアルタイム決済システムの導入は当局からの圧力がなければ進まない」
    レポートで取り上げたスウェーデンとポーランドの事例では、ノンバンクが独自のシステムを導入したことを受け、銀行は対応策を講じるか、何もせずに銀行離れのリスクを負うかの選択を迫られています。
  4. 「リアルタイム決済により、銀行の送金業務の収入が打撃を受ける」
    それは見当違いといえるでしょう。

「リアルタイム決済の導入は、単に決済システムの実装を意味するのではありません。(会計システムなど)関連する全てのシステムのリアルタイム化を意味するということを銀行は理解しなければなりません」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したガレス・ロッジは述べています。

「さらに、もっと重大な課題もあります。通常、リアルタイム決済は24時間/365日稼働し、決済・清算は全てシングルメッセージで同時に行うことが前提となります。これは暗に、銀行は現行システム自体を検討し直す必要があること、特に現在バッチベースである場合にはなおさらその必要があることを示唆しています。リアルタイム決済は、現行システムをいつまで稼働させるかという点において、転換点になるといえるでしょう」