クローズド・ブロックの管理戦略と選択肢:生命・年金保険編
Life, Annuities, and Pensions Edition
Abstract
世界的に景気低迷が続くなか、生命・年金保険を手がける保険会社は業界内の競争激化や投資リターンの低下に悩まされている上、株主および契約者に還元する営業利益の創出を求める強い圧力にも引き続きさらされています。
成熟した先進国市場では、金融危機による打撃や規制の強化に加え、多くの既存商品をレガシーシステムで処理しているという現実が、保険会社の財務を圧迫し、機敏性を阻害する共通の悩みとなっています。大手保険会社は現状の下、もはや戦略的と捉えていない商品をいかに管理すべきかを見直しています。
通常、「クローズド・ブロック(閉鎖勘定)」は採算性の低い商品の停止や戦略的焦点の変更に伴って発生します。その定義はまちまちで、一般に公開される情報も不足していることから、その市場規模を測るのは難しくなっています。セレントは最新レポート「クローズド・ブロックの管理戦略と選択肢:生命・年金保険編」で、主に米国と英国の市場に絞った場合、生命・年金保険市場における保険料収入の40%は戦略的に重要でない商品やクローズド・ブロックから発生したものであると推測しています。
「我々が取材した保険会社のうち92%が、勘定を閉鎖するに至った上位3つの理由の1つに『戦略的焦点の変更』を挙げています。ほとんどの保険会社は、これらの勘定を管理するための積極的な方策を持っていると答えています。ここで、最も一般的な方策とは、既存システムを使って給付金を内部で管理するという従来通りのものです。クローズド・ブロックを縮小し将来的な債務やコストの削減を目指すには、このやり方ではコストが高すぎる可能性があります」と、アナリストでレポートの共同執筆者であるカレン・モンクスは述べています。
保険会社の多くは、クローズド・ブロックをサポートする業務の売却や変革など、上記の目標達成を加速させるための代替策を検討し始めるとみられます。さらに、懸案となっている業務を売却またはアウトソースしなくても、変革の一端として導入可能な実績あるテクノロジーも数多く提案されています。
「コスト可変化と負債圧縮の両方の選択肢を備えた成熟かつ実績あるシステムの市場が拡大しており、もはや有望な代替戦略が見当たらないと訴える保険会社はありません。とはいえ、誤った戦略を選択した場合には、株主、契約者および規制当局などに幅広く影響を与えることになるだけに、保険会社は有効な審査を行った上で慎重に判断する必要があります」と、セレントのシニアアナリストでレポート共同執筆者のジェイミー・マクレガーは述べています。
レポートでは、保険会社が勘定を閉鎖する理由とそれに伴い保険会社が直面する課題を明らかにしています。また、給付業務へと至る過程において、クローズド・ブロックの管理をめぐって保険会社がとり得る出口戦略を検証しています。さらに、北米と英国の保険会社に与えられる選択肢にどのような違いがあるかについても論じています。