クレジットカード会社の顧客維持率:ベンチマーク調査結果
Benchmarking Study Results
Abstract
多くの金融機関にとって、顧客維持は重要な業務活動の1つです。しかし、セレントとオリバー・ワイマンがクレジットカード会社を対象に行った調査からもわかるように、顧客維持をめぐる業務慣行とその実績は金融機関によって大きな違いがあり、顧客維持率は10%~50%とかなりのばらつきが見られました。
セレントは最新レポート「クレジットカード会社の顧客維持率:ベンチマーク調査結果」で、クレジットカード会社10社と保険窓口販売を手掛ける英銀1行を対象に、顧客維持に関する実績と業務慣行を調査しました。調査対象になったのは英国、スペインおよび米国に本拠を置く幅広いカード発行会社で、その規模は小さいものから巨大なものまで様々で、業態も銀行やカード専門会社から英国の大手小売業者の財務部門、消費者金融の合弁会社まで多岐にわたっています。
調査では、全ての会社が受動的な顧客維持にとどまり、積極的な取り組みを行っているのは全体の45%にすぎないことがわかりました。多くの会社は専門の部署を設けていますが、クレジットカード顧客の維持をどの程度重視しているかは発行会社によって大きく異なっています。同様に、意思決定のサポート、顧客のセグメント化、保存システム、エージェントに対するインセンティブなど、各社の業務手法にも重大な違いが見られます。また、実績データが十分でないケースもあり、多くの会社は顧客維持の価値を定性データによって把握しているにすぎません。最も改善の余地がある分野の1つとして、現在「対象外」となっている顧客の維持管理を積極的に行うこと(書面や「営業時間外」の申請による加入者をインバウンドの顧客維持モデルに組み入れる)が挙げられます。
出典:セレントおよびオリバー・ワイマンによる2011年顧客維持調査
「多くのクレジットカード会社が顧客維持の重要性を認識するようになり、この分野は過渡期を迎えています。調査対象となった会社の多くも、業務慣行を積極的に変革したり、業務改善の機会をうかがったりしています」と、セレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆したジルビナス・バレイシスは述べています。