TECHNOLOGY TRENDS PREVISORY 2024: コーポレートバンキング編
2023/11/15
Abstract
2022年から2023年初めに発生した経済ショックは収束したように見えるが、銀行とその企業顧客にとっては、地政学的な環境と金融環境は決して落ち着いたとは言えない状態が続いている。
銀行では、法人顧客が預金の利回りを要求するようになったため、純利ざやから得られる望外利益が減少している。コンプライアンス上の負担もあるが、銀行はより機敏に対応し、迅速にソリューションを提供する必要に迫られている。一方の企業では、借入コストが上昇し続ける中、引き続き流動性の管理が最大の課題となっている。
この1年はフィンテック企業に対する評価の低下、オープンバンキングのリスク管理に関するいくつかの課題、大手金融機関への預金シフトなどを受け、イノベーションの振り子は多くの予算と健全なリスク管理の枠組みを持つ大規模な銀行に向かっているようだ。
幸いにも、世界の銀行のIT支出は2024年以降も増加する見込みである。テクノロジーの面では、生成AIが持つ可能性に注目が集まり、銀行に機会と懸念の両方が生じている。大規模な銀行には、プラットフォーム、データ、AIへの投資を活用する潜在的な能力がある。この能力を活かせる銀行は、AIとエンベデッドファイナンスにおいて「大規模であることの優位性」を持つことができる。2023年はまだ不確実な要素が多く残っているが、2024年以降のコーポレートバンキング向けテクノロジーの優先課題は明確になりつつある。
本レポートは、2024年の金融セクターの5つの主要テーマとコーポレートバンキング向けテクノロジーの15の優先課題についてセレントが顧客向けにまとめたガイダンスである。その中身は最近発行した既存レポートを参考にした部分もあるが、大部分は今回初めて発表する新たな内容で構成されている。