サイバー脅威と保険会社:表裏一体の二つの側面
2020/12/16
Abstract
テクノロジーの革新により、サイバーリスクが増大し、サイバー攻撃の性質が変化している。この傾向を後押ししている主な要因は、デジタル化、技術革新の速さ、テクノロジーの複雑さ、共有されるデータの速度と量の増加、攻撃の巧妙さなどである。
サイバー脅威が予測しづらい環境下において、保険会社が果たすべき役割は大きく分けて2つある。1つ目は、他の産業と同様に、自社の事業活動を保護すること。2つ目の役割は、顧客のサイバー攻撃のリスク軽減、特に顧客の財務上の影響の軽減を手助けすることである。
本レポートでは、保険会社が直面するサイバー脅威のトピックについて紹介している。まず、企業が世界的に直面しているサイバー脅威の頻度と性質を理解するために、最近の事例について考察している。次に、サイバー脅威の定義と分類を行っている。また、サイバー脅威に関する各地域の規制についての見解も示している。サイバーは2つの側面を持つテーマであり、保険ビジネスモデルの本質を考慮して、サイバー攻撃に対する社内のビジネス保護を含む、サイバーリスクがもたらす課題のほか、サイバーリスクが保険会社にもたらす機会についてもセクションを設けている。