リテールバンキングにおける次なる進化は、新しいセルフサービス機能ではなく、高度にカスタマイズされた、顧客のライフイベントや金融ジャーニーに合わせて設計された、高度にパーソナライズされた価値ある顧客エクスペリエンスを提供することから生まれる。これからは顧客エンゲージメントが重要になる。
エンゲージメントバンキングは、能動的でカスタマイズされたオムニチャネルによる顧客ファーストのエンゲージメントを実現するリテール金融サービスの提供手段である。通常、セレントは新しいバズワードは好まないが、今回はぜひ取り上げてみたい。その理由は、エンゲージメントバンキングは銀行業務のやり方に劇的な変化をもたらすものであり、このサービスを提供するためにはエンゲージメントシステムの大幅な再設計が必要になるからである。本質的には、エンゲージメントバンキングは新しいオペレーティングモデルである。
エンゲージメントバンキングを提供するためには、積極的な顧客エンゲージメントを通じて顧客との関係を構築し、顧客から学び、顧客に助言やインサイトだけでなく摩擦の少ないインタラクションも提供することで、それぞれの顧客にユニークかつ関連性のある方法で一貫して価値を示す集中的な取り組みが求められる。銀行は、顧客がいる場所まで出向き、顧客の都合に合わせて顧客に会わなければならない。エンゲージメントはますますデジタル化するが、それだけではない。現在でも、時には銀行との対面のエンゲージメントを希望する消費者は年齢を問わず多数いるかもしれないが、セレントは、支店やコンタクトセンターに依存する受動的なエンゲージメントではなく、デジタル化され、かつ直接的な顧客エンゲージメントの方法を学んだ銀行が勝利すると考えている。
セレントは調査結果に基づき、下図のようにエンゲージメントバンキングの9つの特徴を特定した。
25を超える銀行とソリューションプロバイダーにインタビューに基づくレポートシリーズの第1弾では、顧客エンゲージメントがなぜ重要なのか、どうすれば金融機関と顧客の双方に最大限のウィンウィンのメリットをもたらすユーザージャーニーを設計できるのかについて明らかにするとともに、業界をリードする銀行とベンダーが追求している6つの主要なバリュードライバーについて紹介する。