欧州リテール銀行におけるオペレーショナル・エクセレンスのレベルアップ
Abstract
欧州のリテール銀行は厳しい事業環境の中で進化を続けています。現在、業務コストの削減はかつてないほど重要になっています。新たな課題に対処するため、銀行はコストを15%削減することを目標に積極的な策を講じています。
ここ10年間、欧州リテール銀行の利益率は主に増収によって押し上げられてきました。増収率の上昇ペースがコストの伸び率を上回ったことで、費用収益比率が改善しました。しかし、現在の市況下では、増収に頼るだけでは費用収益比率の持続的な改善は望めません。深刻な金融危機を背景に、コスト削減に比重を置いて業務効率化を図るためのより積極的で新しいアプローチが広がっています。 セレントとオリバー・ワイマンは最新レポート「欧州リテール銀行におけるオペレーショナル・エクセレンスのレベルアップ」で、欧州リテール銀行のオペレーショナル・エクセレンスを評価するための調査を実施し、各行の業務の成熟度を明らかにしました。調査対象となった40行を超える欧州のリテール銀行には、以下のコスト構成要素に関する成熟度を6段階で自己評価してもらいました。
- 支店展開:営業部隊、リレーションシップ・マネジャーおよびテラー、セールスマネジメント、セールスサポート、支店の不動産管理
- リモートチャネル:コールセンター(インバウンド、アウトバウンド、ヘルプデスク)、インターネット、ATM
- マーケティング:広告、直接販売、スポンサーおよびマーケティング組織
- バックオフィス:口座サービス、決済、与信/回収、投資商品/ウェルスマネジメント 。
- 情報技術(IT):サポート、プロジェクト実施、要求対応
- サポート機能:財務、リスク管理、法務、コンプライアンス、人事
出典:セレント
「ビジネスの本質や価値創造基盤は極めて急速かつ劇的に変化しています。市場の混乱に伴い、金融機関は迅速な変革または自らへの再投資を迫られており、生き残りのための戦略を打ち出すケースも多くみられます」とセレントのアナリストでレポートを共同執筆したペリン・フィオリーナは述べています。
「これまで欧州のリテール銀行は、主に支店展開におけるコスト削減に注力してきました。これらの銀行では支店が業務コストの大変を占めているとはいえ、それにより業務過程の他の部分におけるコスト削減の機会を見過ごすという結果も招いています。バックオフィスやサポート機能はコストの重要な要素であるにもかかわらず、ITなど他の要素ほど注目されてきませんでした」とセレントのシニアバイスプレジデントでレポート共同執筆者のアクセル・ピエロンは指摘しています。
本レポートは欧州の主なリテール銀行の成熟度を効率性という観点から分析することで、市場全体の概要を明らかにしています。また、現在実践されているベストプラクティスを紹介し、持続可能なコスト削減を行うためのアイデアを示しています。
本レポートは60ページで構成されています。