米国における銀行支店開設ブームの終焉:激減が予想される支店密度【全訳版】
Abstract
(このレポートは2013年4月30日に"Branch Boom Gone Bust: Predicting a Steep Decline in US Branch Density"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2013年8月22日に発行しました。)
米国ではこの40年間、支店網の拡大が進められてきましたが、今後、営業中の支店数は劇的に減少する見通しとなっています。
セレントの最新レポート「米国における銀行支店開設ブームの終焉:激減が予想される支店密度」は、米国の個人顧客が従来の支店から新たなデジタルチャネルでの利用にシフトしているにもかかわらず、リテール銀行がそうした流れに対応できていない現状を明らかにしています。
米国では1970年以降、連邦預金保険公社(FDIC)の保証対象となる銀行支店の数が281%増加しており、伸び率は年平均3%となっています。過去40年間の支店増加率は、米国の人口増加率をはるかに上回っています。1970年時点で人口100万人当たりの支店数は約107だったのに対し、2011年には270まで増えています。
「人口比の支店数は30年前に比べて大幅に減少してもおかしくない状況ですが、現実には全く逆の現象が起きています。そのためこの先は、人口比の支店数が緩やかながら減少に転じることは避けられないでしょう。今後は営業中の支店数を減らすだけでなく、リテールバンキングの業務モデルの抜本的な改革が不可欠となります。銀行は市場のトレンドに逆らうのではなく、これをチャンスととらえ、マルチチャネルを通じたバンキングによって獲得した競争優位を活用するほうに資源を充てるべきでしょう」と銀行グループのシニアアナリストでレポートを共同執筆したボブ・メーラは述べています。
「消費者の好みが大きく変化するなか、そのニーズに合ったマルチチャネル戦略を展開できない銀行は、競争力で大きく差をつけられることになるでしょう。支店網の再編にはコストと手間がかかることから、銀行にとっては難しい課題となっています」と、アナリストでレポートの共同執筆者であるスティーヴン・グリーアは指摘しています。
レポートは米国の支店開設ブームについて検証し、大手銀行が過去に例のない過剰投資に至った経緯を明らかにしています。次に、リテールバンキングの複数の市場セグメントに焦点を当て、市場の人口動態の分析をもとに米国での支店開設ブームがいかに異常であったかを解説しています。また、世界的な消費者の好みの変化を踏まえ、米銀支店網の規模の適正化が避けられないことを複数の観点から論じています。最後に、銀行が支店網の縮小傾向にいかに対応していくべきか提言しています。
本レポートは32p、28図と3表で構成されています。