REPORT
    欧州リテール銀行の2022年IT戦略:デジタル融資、データ分析、クラウドに注力
    15th May 2022

    パンデミックの影響が後退し始めた今、欧州の銀行は再び成長することに専念し始めている。この先には政治的課題とマクロ経済的課題の両方が待ち受けているが、2022年の課題のトップはイノベーションであり、この変化の大部分を支えるのはテクノロジー投資であろう。

    業界では「ニューノーマル」が話題になっているが、セレントはこの意味を正確に理解するため、2021年末にバンキングIT戦略調査 (CBISS) を開始した。200行近いリテールバンクと綿密な意見交換を行った結果、業界のテクノロジー戦略と投資優先事項に関する詳細なインサイトが得られた。ひとつはっきりしたことは、近いうちにテクノロジー関連支出が減少する兆候はないということだ。欧州の金融機関は2022年のIT予算を大幅に拡大していると報告しており、これらの予算は商品開発、ユーザーエクスペリエンス、業務改善に向けたさまざまな機能強化に適用されている。

    2022年のテクノロジー関連支出は前年比で平均4.0%増加し、2023年には予算がさらに大幅に拡大する見込みである。これはリテールバンキング業界がパンデミックからの脱却を加速させる中、テクノロジーを活用した成長への意欲が高まっていることを示している。また、急速に変化している状況において適切であり続けるためには、銀行が自らのトランスフォーメーション計画を加速させることが不可欠であることを示している。

    本レポートでは、欧州の銀行の投資見通しと重要な戦略的優先事項について詳述している。

    主な調査結果:

    • 銀行の74%が、フィンテックやチャレンジャーバンクによる脅威は1年前よりも大きいとの考え
    • 54%が2022年の優先事項としてオープンバンキング関連機能に投資
    • 53%がテクノロジー優先事項としてパブリッククラウドインフラへのワークロードの移行に言及
    • 54%がデジタル融資エクスペリエンスに投資しており、まさに最大の商品優先事項
    • 81%が、自組織にはオープンエコシステムと連携するための明確な戦略があると報告

    リテールバンキング業界への教訓は明白である。欧州の銀行にとって資金調達におけるイノベーションは重要な戦略的原動力である。投資をしない銀行は市場から取り残される可能性がある。

    Author
    Kieran Hines
    Kieran Hines
    Principal Banking Analyst