銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望
Abstract
北米の銀行によるIT投資は増加傾向にあり、2011年の投資総額は4%増が見込まれています。2012年もこの流れが続き、投資額は4.6%増の559億ドル(約4.7兆円)に達するとみられています。まだ予断は許さない状況ですが、投資が上向き始めたことは明るい材料といえるでしょう。
セレントの最新レポート「銀行業界のIT投資動向:北米市場の展望」は、米国およびカナダの銀行のIT投資動向について調査、分析、比較しています。この地域の銀行によるIT投資総額は、2010年の514億ドル(約4.3兆円)から2011年は534億ドル(約4.5兆円)に増加する見通しです。個人向け業務のIT投資額は増加傾向にあり、法人向け業務も高水準を維持するとみられます。また、ソフトウェアおよびサービスへの投資が増えているほか、新規投資も急増しています。
「投資額のうち、新システムやイノベーションへの投資が最大のシェアを占めるのが理想的です。現状は保守管理費の占める割合が大きいものの、米国・カナダの銀行でその比率が低下傾向にあることは明るい材料といえるでしょう」とセレント銀行グループのシニアアナリストでレポートを執筆した ジェイコブ・イエーガーは述べています。
「ここ2年は厳しい環境が続きましたが、個人向けと法人向けのいずれの分野でも投資額は着実に伸びています。こうした傾向は明るい兆候ですが、銀行はプロジェクト精査の厳格化と短期間での投資リターンの実現を目指しています。多くの銀行は、優先的に取り組みたいシステム強化や戦略的プロジェクトを数多く抱えているため、新規プロジェクトに投資を振り向けることはなお難しい状況にあります」とイエーガーは付け加えています。
レポートでは、個人向け/法人向け業務への投資額、社内/社外への投資額、保守管理費/新規投資額の地域別内訳を明らかにしています。また、2011年の北米銀行向けシステムの主なトレンドと成長分野について概説しています。
このレポートは19図と1表を含む38ページで構成されています。
注)ドルから日本円への換算レートは、2010年12月31日の仲値(三菱東京UFJ銀行公表による)を参照。