ケーススタディ:台新国際商業銀行の勘定系システム移行プロジェクト
Abstract
(このレポートは2005年6月2日に"Rethinking the Core at Taishin International Bank: A Case Study"というタイトルで英文で発表されましたが、和訳版を2005年7月7日に発行しました。)
今日のバンキングを巡る事業環境においては、従来の銀行のメインフレームシステムでは要望に対応しきれないという状況が進み、より柔軟性の高いシステムアーキテクチャへの移行を検討する銀行が増えています。ただ、これを実行に移している銀行はまだあまりありません。セレントの最新レポート「ケーススタディ:台新国際商業銀行の勘定系システム移行プロジェクト」は、台新国際商業銀行(台湾)が実践した勘定系システムの移行プロジェクトを取り上げています。同行は、1990年代初頭に設立された台湾の新世代銀行の中でも、ある角度から見れば最も成功を収めた銀行と言えるでしょう。このプロジェクトの結果、同行は、勘定系システムをメインフレーム環境からオープンプラットフォーム・アーキテクチャへと移行した台湾で初めての銀行(アジア全体でもごく少数のうちの一行)となりました。
台新銀行は90年代を通じて大幅な成長を達成し、既存の勘定系システムには多大な負担がかかっていました。典型的なメインフレームストラクチャは柔軟性に欠け、新規機能の追加には時間がかかる上にリスクも伴っていたことから、同行は2001年に勘定系システムのリプレースを決断しました。新システムに求められたのは、新商品投入のスピード化、同行の積極的な成長計画に対応できるスケーラビリティ、ITと業務部門における業務効率の最大化でした。同行は、オーストラリアのベンダーであるFinancial Network Services(FNS)の勘定系システムBANCSを選択し、これをヒューレット・パッカードのサーバ「9000 シリーズ Superdome」を用いたオープンプラットフォーム上で稼動させることにしました。
このケーススタディでは、オープンプラットフォーム型システムの採用を巡る戦略、ベンダー選定の基準、プロジェクト推進のプロセス、プロジェクトから得た教訓などを明らかにしています。また、レポートの結論として、新システムへの移行によって実現したシステム上、業務上そしてコスト面の成果を分析しています。
「アジアでもその他の地域でも、サーバベースの勘定系システムへの移行に踏み出した銀行はなおごく少数に限られています。オープンプラットフォームの採用に踏み切った台新銀行の決断はそれ自体が注目に値しますが、さらに特筆すべきなのが、新しい勘定系システムの機能を活用して革新的な事業戦略を実践するという同行の優れた戦略ビジョンです」と、セレントのシニアアナリストで今回のレポートを執筆したニール・カタコフは述べています。
このレポートは7図と3表を含む全22ページで構成されています。