モバイルコマース:細部の課題への取組み
Abstract
セレントの予測では、携帯電話は今後世界的にも、小額決済ツールとしてますます突出した存在になっていく見通しです。携帯電話を利用したモバイルコマースの市場規模は、2006年は世界全体で240億米ドル(約2兆8,000億円)を超え、さらに2008年には550億米ドル(約6兆5,000億円)に達する見込みです。
かつて携帯電話会社と銀行は、携帯電話の普及率、技術標準、業界動向の変化、新規事業への関心などを要因として、互いにかけ離れた存在でしたが、ここにきて、この同じ要因のもとに両者が協力する動きを見せています。2006年 は、携帯電話を使ったモバイルコマースの分野で業界を一新するような新しいビジネスモデルが登場したことによって起こる、細部に渡るあらゆる難題に取組む 年となるでしょう。米国では、モバイルコマースはデジタルコンテンツを購入するだけのものではなくなるはずです。携帯電話は商品を購入する際の「お財布」 の機能を持つようになります。このテクノロジーはアジアではすでに広まっていますが、米国でも2007年、このタイプの商品が登場するとセレントは見ています。
ところで、モバイルコマースの市場規模は米国だけでも30億ドル(約3,500億円)に近づく見通しであり、コンテンツ・プロバイダー、携帯電話会社、携帯電話メーカーはモバイルコマース特有の革新的な2つの側面に取組み始めています。
- モバイルデバイスはデスクトップ・コンピュータと違って、時間や場所に縛られない
- モバイルデバイスはそのポータビリティとアクセシビリティから「お財布」の機能を果たし、店舗のポイント・オブ・セールス(POS)での読み込みが可能である
セレントの最新レポート「モバイルコマース:細部の課題への取組み」 では、急成長するモバイルコマース市場を探求しています。「世界中で携帯電話が、コミュニケーションやエンターテインメント、さらに最近では特にコマース の起点として、日常生活に欠かせない存在となりつつあります。携帯電話会社、カード会社、デバイスメーカー、銀行は、携帯電話を店舗POSやデジタルPOSに おける決済手段として機能させるための経済的な適正バランスを模索しています。北米や欧州市場では通信会社と銀行が、いずれにとっても中立的な立場にある 第三者のテクノロジープラットフォームの力を借りて、ようやく協力関係を結ぶ可能性が出てきました」と、セレントのシニアアナリストで本レポートを執筆し たダン・シャットはコメントしています。「近接型通信の技術標準が創設されたことによって、携帯電話を使った少額決済がさらに普及し、全ての当事者にとってモバイルコマース市場が拡大することは間違いないでしょう。」
注)米ドルから日本円への換算レートは、2006年1月31日の仲値(東京三菱銀行公表による)を参照。