同規模の銀行とクレジットユニオンの効率性を比較する
Abstract
組織が自己評価を行う際には、実力が拮抗する競合他社群を判断基準にする傾向があります。従来セグメント化されていたビジネスモデルの融合が進むなか、金融サービスをめぐる新たなニーズに対応するためには、市場をより総合的に捉える必要があるでしょう。
KEY RESEARCH QUESTIONS | |
1 | クレジットユニオンと銀行の業績に違いはあるか? |
2 |
両者のビジネスモデルの違いが業績に影響しているのか? |
3 | そこから何がわかるか? |
本レポートは同程度の規模を持つ銀行とクレジットユニオンを比較し、業績における違いが何か、そうした違いを生んでいる各ビジネスモデルについて検証しています。
レポートでは効率性比率の変化に注目し、営業費用の対営業収入比率のほか、純資産利益率(RoA)と株主資本利益率(RoE)についても調査しています。効率性比率は金融機関の業務状況を把握するための指標ですが、業界や組織による違いを浮かび上がらせます。
セレントは、最少公倍数を使うことでこの指標を簡略化しました。すなわち、正味受取利息とそれ以外の収入の合計額に対する営業費用の比率を効率性比率とし、それに基づいて比較しました。この指標に基づくと、クレジットユニオンは同規模の銀行よりも速く非効率化することが明確に示されました。指標を簡略化し、絶対数値ではなく差分だけに注目すると、業種の異なる金融機関同士であっても、営業収入のうちどれだけ営業費用として使っているかを正確に比較することができます。
「クレジットユニオン業界全体の利益は、同規模の銀行に比べて縮小傾向にあります。これは、組合員重視の方針に基づく意図的な経営判断ではあるものの、利益重視のアプローチである同規模の銀行に比べて経営資源が乏しくなる結果となりますす。金融サービスの複雑化とニーズの拡大に伴い利益への下方圧力が強まるなか、銀行との利ざやの差がクレジットユニオンの競争力を削ぎかねません」とセレント銀行グループのアナリストでレポートを執筆したスティーブン・グリーアは述べています。
レポートでは、セレントの調査結果と公表されているデータをもとに、同規模のクレジットユニオンと銀行の業績指標を比較し、優位を守るための戦略的なアドバイスを示しています。
本レポートは30p、21図と1表で構成されています。