Abstract
Dan Rosenbaum、Alenka Grealish、Chaitra Chandrasekhar、Lucia Uribeによるレポート
銀行サービスの市場は益々多くの企業が参入し、更に興味深いものになろうとしている。現在、銀行サービスに参入してくるノンバンクは少数にとどまっているが、銀行免許を取得しなくても銀行サービスを提供できるとわかれば、今後数年でノンバンクの参入は大幅に増加するだろう。こうした流れの先を行くために、強力なブランドと大規模な消費者・中小企業向け営業網を持つ企業は、この拡大が見込まれるビジネス機会について早急に調査する必要がある。
今日の一般的なバンキングモデルでは、消費者や中小企業が銀行サービスを利用する場合、物理的な銀行かバーチャルな銀行に行かなければならない。しかし、今後1~2年のうちに消費者や中小企業は、すでに信頼関係が構築されているノンバンク会社が提供する銀行サービスに徐々にアクセスできるようになるだろう。これにより、銀行サービスへのエンゲージメントモデルは、銀行業界によって定義された「銀行取引を行うためには、銀行の支店、ウェブサイト、またはアプリにアクセスする必要がある」というものから、顧客によって定義されたモデルへとシフトし、顧客は必要なときに必要な場所で銀行サービスを利用できるようになる。いつでも、どこででも利用できるサービスには、住宅の購入や中小企業の帳簿管理といった銀行サービス以外の項目も含まれることになる。
こうしたサービスには大きな収益機会があり、セレントの試算では、リテールバンキングの収益は年間で4,000億ドル以上に上る。
そのため、急速に拡大しているBanking-as-a-Service(BaaS:サービスとしての銀行)のトレンドに後押しされ、銀行サービスにノンバンクが押し寄せる初期の兆しが見られるのは驚くべきことではない。いくつかのノンバンク会社はすでにこの好機を捉え、銀行サービスを企業戦略の一部に組み込んでいる。過去12カ月間に、全国のコンビニエンスストア小売業者、税務申告サービス会社、中小企業向け会計ソフトウェアのプロバイダー、携帯電話キャリア、Eコマースサイト運営会社が、顧客向けにFDIC保険付き預金口座(特定の取引口座)サービスの提供を開始したか、または開始する計画を発表している。
これらの企業は、十分に検討して銀行サービスへの参入を成功裏に果たすことで、ほぼすべてのBtoC企業の主な目標に近づくことができると考えている。つまり、「顧客のニーズの充足や大きな問題の解決を手助けすることで、顧客の生活の中心的ポジションを徐々に獲得していく」という目標である。
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