フロントオフィス/ ミドルオフィス・プラットフォーム: 欧州・中東・アフリカのウェルスマネジメント
2020年 XCelentアワード:VendorMatchを利用した評価
Abstract
欧州では政情および市況の変動、ブレグジット、新型コロナウイルスのパンデミック、顧客ニーズの変化、規制強化、最新テクノロジーの導入によるレガシーシステム近代化の必要性などを背景に、ウェルスマネジャーは引き続き逆風にさらされている。これらの金融機関にフロント・ツー・ミドルオフィス・プラットフォームを提供するベンダーは、独自の顧客エクスペリエンスを生み出すソリューションを求められている。明確な差別化要因としては、ビッグデータ分析に基づく実施可能な提言および知見、アドバイザーと顧客のシームレスな協調、マス・カスタマイゼーション機能、堅固なフィナンシャルプランニング用モジュールなどが挙げられる。
本レポートでは欧州、中東およびアフリカ(EMEA)のフロント・ツー・ミドルオフィス・プラットフォームのプロバイダーを取り上げる。その内容は、2013年と2016年に発行した下記のフロントオフィス関連レポートを更新したものである。
「欧州のウェルスマネジメント・テクノロジーベンダー:フロントオフィス向けプラットフォーム」
「欧州のウェルスマネジメント・テクノロジーベンダー:フロントオフィス向けプラットフォームベンダー評価」
セレントはウェルスマネジメントベンダーを対象とするレポートシリーズで欧州および北米市場に投入されているCRM、フロント・ツー・ミドルオフィス/ フロント・ツー・バックオフィス・プラットフォームを取り上げており、本レポートはその最新版である。
セレントはフロント・ツー・ミドルオフィス向け製品を手掛けるベンダーを、「ワークフローと単一インフラを一体化させ、アドバイザープロセスをエンド・ツー・エンドでサポートするプラットフォーム」と定義づけている。特筆すべきは、これらのベンダーは統合型のプラットフォームソリューションを提供しているが、そのソリューションの多くはモジュール型のシステムであるため、ウェルスマネジャーは主要ワークフローに対応可能な特定のコンポーネントを選択できることである。フロント・ツー・ミドルオフィス向けコンポーネントは、製品購入から継続的な保守・管理に至るアドバイザリープロセスを単一ワークフローでサポートする。コンポーネントには顧客関係管理(CRM)、フィナンシャルプランニング、ポートフォリオ管理、ポートフォリオモニタリングなどがある。また、フロントオフィスからバック/ ミドルオフィスをカバーする報告書もある。
本レポートはフロント・ツー・ミドルオフィス・プラットフォームを手掛ける欧州の主要ベンダーに関するレポートの第1弾で、ここで取り上げたベンダーはAvaloq、Comarch、 Envizage、Finantix、InvestCloud、New Access、Objectway、PrometeiaおよびTechRulesである。AvaloqとNew Accessはベンダー比較表に含まれているが、セレント独自の「ABCDベンダービュー」による評価は行わなかった。この分野の有力ベンダーとしては他にCharles River、CREALOGIX、Intellect Design、Openfinance、Refinitiv、Temenosなどが挙げられる。
レポートでは「ABCDベンダービュー」を使ってベンダーを評価し、①テクノロジーの先進性 ②機能の幅 ③顧客基盤 ④顧客サービスの拡充度―の4つのカテゴリー別に各ベンダーの相対的なポジションをXY座標上に示している。新たに「総合的に最も優れている」というカテゴリーを加えようとしたが、ベンダーによる違いがほとんど認識できないことは明らかだった。そこで今回は「現代化が最も進んでいる」という別のカテゴリーを加え(2016年発行のレポートから導入)、業界内の優れた事例については特に言及し推奨している。
図1は、テクノロジーの先進性(Y軸)と機能の幅(X軸)を示している。図2は、ベンダーの顧客基盤(X軸)と顧客サービスの拡充度(Y軸)を示している。