規制当局による作業の軽減
ZoomやSlackのようないわゆるコラボレーションツールは、コロナ禍よりずっと前から米国証券取引委員会(SEC)等の規制当局から注視されていた。実際、金融業界規制機構(FINRA)は昨年発表した調査結果の中で、これらのチャネルで行われた通信を記録・監督する義務について明示している。
これらの調査結果の主な焦点は、ガバナンスに関するものである。プロセスが重要であり、それは単に情報を取得、レビュー、記録するだけではない。今日のウェルスマネージャーは、アドバイザーが使用する新たなコミュニケーションツールを特定する手段があること、そのモニタリングの有効性を示さなければならない。
細分化された環境
ここ数週間、「テレワーク」や「ソーシャルディスタンス」いった言葉が広く使われるようになり、SECの職員でさえ在宅ワークを行っているが、それは次のような疑問を投げかけている。すなわち、検査シーズンが近づく中、連邦および州の検査官が最新のコンプライアンスシステムの利用を強化することには意味がないだろうか?現在のこの広範囲にわたる危機は、レビューが数カ月延期される可能性があることを意味している。
レビュープロセスには手作業と労力がかかる。米通貨監督庁(OCC)、州銀行、保険・証券監督当局、そしてFINRA、これらはすべて独自の監査を実施している。最も多くの権限を持つ監督機関であるSECのコンプライアンス検査局(OCIE)だけでも、毎年3,000件以上の検査を行っている。これらの実践的なレビューによって、プロセス、システム、およびデータフローの詳細を確認することができる。
適切な例
ベンダーのコンプライアンスソフトウェアのケース管理システムは、ほぼ同じことを行う設計となっている。ロボティック・プロセス・オートメーションと調査ツールの共有によって、すべての側面の把握と会社全体の理解が可能となる。最も堅牢なシステムには、機械学習、さらには仮想現実(VR)技術の要素が取り入れられ、データから新たなインサイトを引き出すことができる。
適切な保護措置を整備した上で、規制当局に取り入れてはどうか?アクセスは特定の監査証跡またはデータ抽出に制限できる。システムを悪用しようとするアドバイザーを捕まえるために罠をしかけ、より注意深く追跡することができる。時間は刻々と迫っている。なぜなら、審査官や検査官にとって、2020年が厳しい年となる要因は新型コロナだけではないからだ。SECの「最善の利益規制(Regulation Best Interest)」基準の遵守期限は6月に迫っており、現場チームの負担はさらに拡大するだろう。