市場監視の業界は着実に成長しています。規制当局は金融機関、取引所、その他のプラットフォームの活動に対する監視強化を進めてきました。同時に、市場参加者には自らの取引関連活動を適正化したいという強い意向があり、市場監視システムの導入拡大につながっています。不正取引の手口が巧妙化するなか、市場監視システムもこれに対応してより複雑化し、機能を進化させていくとみられます。

本レポートは、市場監視を巡るの重要な動きや最新のトレンドを明らかにしています。市場監視システムは資本市場における急成長分野として、マシンラーニング、ビッグデータ、クラウド機能の最新の改善点を率先して採用しています。システムが複雑であることから、各社とも積極的に協力関係を結んでおり、自らの専門分野では強みを持つものの、顧客のニーズに応じるには総合的な製品を提供する必要のあるベンダー同士がパートナーを組むケースが数多くみられます。

規制の動きもシステムの普及を促す重要な要因となっています。米国のドッド・フランク法や欧州で近く施行される市場濫用指令（MAR）で規制要件が定められたことを受け、金融機関と規制当局はトレーダーの行動の監視強化を迫られるようになっています。さらには、プログラム取引やアルゴリズム取引のコンピュータ開発者も規制対象に含まれています。取引の意図を分析することが重要になり、そのために高度なテクノロジーが採用されるようになっています。これは、トレーダーの総合的な行動リスクを把握することにもつながります。金融機関は従業員への監視を強め、規制の悪用や違反があった場合に対処できる体制を整えています。

市場参加者が多様化していることから、今回の調査では資産・市場横断的なアプローチが求められました。金融機関は取引に関してより包括的なアプローチをとるようになっており、市場監視システムもそれに対応できなくてはなりません。また、様々な新しい種類の資産に監視システムを利用することに対する関心の高さも、システムを評価する上で重要な基準となりました。今回の調査で、監視システムの利用対象は株式などの標準的な資産クラスから債券、外国為替、店頭デリバティブなどにも広がっていることがわかりました。

「市場データの量が急増し、規制要件が厳しくなったことに伴い、ベンダーと金融機関は最新テクノロジーに基づくツールを採用することで監視要件に対応してきました。市場および規制環境が不透明な状況では柔軟性が重要となるため、金融機関はより積極的な監視アプローチをとろうとしています」セレント証券プラクティスのシニア・アナリストでレポートを執筆したアンシュマン・ジャスワルは述べています。

レポートではまず市場監視分野の最新トレンドを明らかにし、次に欧州を中心とする規制が果たす役割について述べています。最後に、主要ベンダーが今後開拓すべき分野を取り上げています。