オペレーショナル・レジリエンス (OR) 2023
2023/09/25
Eiichiro Yanagawa
日本市場の動向と示唆:BCM(業務継続管理)からOR(業務の強靭性・復旧力)への展開
Key research questions
- 新規制の動向: オペレーショナル・レジリエンス (OR) とは?
- ORへの対応と戦略: IT及びオペレーション管理の取り組み、重要アジェンダと優先事項は?
- 推奨と提言: BCM(業務継続管理)をOR(業務の強靭性と復旧力)に展開する術は?
Abstract
2023年春の北米におけるシリコンバレー銀行とファースト・リパブリック銀行の破綻、欧州におけるクレディ・スイスの消滅、そしてさらなる金融破綻は、金融機関が中断することなく業務を遂行する能力に対する一連の大きな脅威になっている。過去25年の間にも、2001年に9.11同時多発テロ、2008年に世界金融危機、2010年にフラッシュクラッシュ、2012年にソブリン債務危機、2016年にバングラデシュ銀行強盗、2020年に世界的パンデミックが起り、それぞれが金融サービスさの存続を著しく脅かした。2022年、世界中の規制当局は、金融サービス部門全体にシステミックリスクに対する、より強固なオペレーショナル・レジリエンスを浸透させるための措置を講じはじめた。
規制は地域によって異なるが、いずれもオペレーショナルリスクのもつ複数の側面をひとつのフレームワークにまとめ、クリティカルビジネスサービス(重要な業務)を特定し、企業全体で合意した上で、システム障害に直面した場合にどのように対処するかを特定する統合リスクマネジメントのアプローチを義務づけている。
多くの規制当局が 2025年までにプロセスやシステムを強化することを求めているため、金融機関はリスク能力の変革において緊急かつ重大な支援を必要としている。多くの金融機関は、規制要件に対応するために、企業全体でより高いレベルの連携が必要であることに気づいている。金融機関は、リスクやコンプライアンス活動に対する全社レベルの可視性と、全社レベルの危機対処能力の両方を向上させる必要がある。
本稿は、グローバル、アジア太平洋地域(APAC)そして日本市場での調査結果を踏まえ、以下の動向について考察する。
- 新規制の動向:オペレーショナル・レジリエンスとは?その認識と課題
- 対応と戦略:IT及びオペレーション管理の取り組み、重要アジェンダと優先事項
- 推奨と提言:BCM(業務継続管理)をOR(業務の強靭性・復旧力)に展開する術