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ダークプールは台風の目

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2013/11/19

Abstract


欧米ではここ数年間でダークプールの取引量が拡大しており、それらが市場構造、市場の質、取引コストにもたらす影響について議論が持ち上がっています。今後数年間もこうした動きが続き、より多くの取引がダークプールで行われるようになると、取引所取引の将来をめぐる懸念が高まりかねません。

セレントの最新レポート「ダークプールは台風の目」は欧米におけるダークプール取引の拡大状況を明らかにし、現在ダークプールがもたらしている問題(市場の悪用、価格形成、平等なアクセスなど)のうち規制の観点から重要視されるものについて分析しています。

ダークプールは、市場構造の進化の過程で生まれてきたものです。しかし、ここ5年間は市場構造の変化によってその複雑さも増しており、ダークプール取引の拡大といった動きが資本市場全体の安定性や効率性にいかに貢献しているのかを区別および評価することが難しくなっています。とはいえ、最近明らかになった市場悪用の事例を受け、ダークプール取引に対する規制当局の監視は厳しくなっています。さらに、ダークプールにおける1件当たりの平均取引サイズが小さくなっていることから、規制当局は、ダークプールが果たすべき機能を満たしているのかより厳格にチェックする必要に迫られています。米国では、ダークプールで執行される取引のサイズは2009年の平均430株から2013年6月時点では約200株に縮小しています。

「ダークプールは市場の重要な構成要素の1つです。取引をダークプールから取引所に無理矢理移行させても、必ずしも取引コストの低下や市場の質の向上につながる訳ではないことを理解する必要があります」とセレント証券グループのアナリストでレポートを執筆したムラリダール・ダザールは述べています。

「ダークプールはどれも同じではありません。ダークプールに集中しすぎた取引を抑制しようとすると、専門化された取引ベニューで大口取引を行う投資家にかえって悪影響を及ぼすことになりかねません」と、証券グループのリサーチディレクターでレポートを共同執筆したデビット・イーストホープは指摘しています。

レポートではまず、ここ数年のダークプールにおける取引拡大を促した主な要因を分析しています。次に、欧米におけるダークプール取引の発展状況を明らかにし、「取引所取引 vsダークプール取引」の議論の根拠となる主要データの一部を紹介しています。さらに、ダークプールの今後の行方について、現在進められている規制面の議論を中心に分析しています。