2023年 キャピタルマーケッツのバイサイドにおけるITの戦略と優先事項
偉大なる「デジタルの時代到来」により、投資の構成要素に変革的なシフトが起きている
Abstract
2022年にトップ100のアセットマネジャーの平均運用資産 (AUM) が15~20%減少し、2023年に入ってもさまざまな地域でマクロ経済の変動が続いている。これはバイサイド全体への警鐘である。市場の変動は、継続的な利益率の圧迫に対処する必要があることを明確に示している。また、すべてではないにせよ、ほとんどのバイサイド企業にとって、何もしないという選択肢はないということが改めて確認された。長期的な構造要因 (投資家の要求、規制上の圧力、パッシブ運用、手数料の圧縮、テクノロジーのトレンド) により、バイサイド企業はビジネスモデルと業務上の観点からより戦略的に対応することが求められている。
今年の調査によると、ますます混雑する市場で独自の投資提案を発見するために、多くのバイサイド企業が商品やアドバイザリーサービスの内容を充実させることに投資予算を集中させている。クラウドを活用したテクノロジー戦略の下、採用可能な「大規模」なイノベーションを積極的に試し、取り入れており、高度なデータアナリティクスと人工知能 (AI)/機械学習 (ML) を中核的な最前線の投資部門で活用し、将来を見据えたよりタイムリーかつ正確なインサイトを促したいという強い願望が見て取れる。
野心や願望を除けば、今後もジャーニーのテーマが「デジタル時代の到来」であることに変わりない。変革の取り組みを進めるバイサイド企業は、中核となる「投資エンジン」が確実に幅広い資産タイプや戦略を提供し、効率化とデジタル化を支える最新のものであると同時に、これをより適応性の高いエンジンに確実に進化させていく必要がある。こうしたエンジンを構築するにせよ、購入するにせよ、イノベーションに対するIT投資は、投資の構成要素のさらなるモジュール化、商品やカスタマージャーニー/投資ジャーニーのカスタマイズ、付加価値が高く、AIによって強化された予測アナリティクスをターゲットとすべきである。
これまでの軌跡と、これがキャピタルマーケッツ業界にとって何を意味するのかを正確に理解するために、セレントはグローバルキャピタルマーケッツ/バイサイドのIT戦略調査を実施した。さまざまなバイサイドの機関投資セグメント (アセットマネジャー、年金基金、投資信託、ヘッジファンド、政府系ファンド) の幹部168名以上から得た回答に基づき、業界の議題のトップに上がっているテクノロジー、商品投資、戦略的優先事項が明らかになった。